みずほ銀行の大規模システム障害が発覚して15日で1カ月。店舗営業や現金自動受払機(ATM)は通常体制に戻ったが、トラブル中に店頭で臨時に払い出した現金の最終的な精算ができないなど影響は尾を引いている。金融庁は行政処分を念頭に4日に立ち入り検査を実施。西堀利頭取は7月に延期していた全国銀行協会長への就任を辞退する意向を固めたが、経営責任に発展する可能性もある。
システム障害をめぐっては、給与振り込みなど最大116万件(8296億円)の決済に遅れが生じた。3月25日以降は予定通り決済されたが、公共料金を中心に3月15~22日分の口座振替は、誰からの入金なのか照会できない状態が続いている。同行は書類やデータで入金元の情報をガス会社などに提供しているが、入金手続きが完了していない取引も一部残っている。
ATMを全面停止した3月19~21日の3連休を中心に、窓口で10万円を上限に臨時で払い戻した現金の精算も終わっていない。同行は計約196億円の現金を払い出し、システム復旧後に顧客口座から引き落とす予定だったが、預金残高が払い出し額より少ないケースが多発。未回収額は数億円に上り、意図的な持ち逃げも含まれるとみられ、各支店で行員が振り込みの要請に追われている。
同行は今月11日、システム障害の原因究明などを行う第三者委員会を発足させた。障害のきっかけは、東日本大震災の義援金口座への振り込み集中。「大手行では、みずほだけが携帯電話のネットサービスを使った振り込みを可能にしたため、入金が想定を超えた」(大手行幹部)との見方が出ているが、「システム設計に問題があったのでは」(大手行)との疑念もぬぐえない。
西堀頭取は全銀協理事会が開かれる14日にも会長就任辞退を正式表明し、当面は原因究明に専念する考え。しかし、立ち入り検査を開始した金融庁は、みずほフィナンシャルグループの旧3行が統合した02年に続く2回目の大規模障害である点や、震災の混乱に拍車をかけたことを重視し、業務改善命令の発動の検討に入っている。02年のシステム障害の際は旧3行トップがそろって辞任に追い込まれており、今後の焦点は西堀頭取の経営責任になりそうだ。【大久保渉】
毎日新聞 2011年4月13日 21時37分(最終更新 4月14日 7時42分)