2011年4月7日0時50分
東日本大震災の復興プラン作りで、首相官邸や民主党内に協議機関が次々設けられている。菅直人首相は自ら打ち上げた「復興構想会議」をシンクタンクと位置づけるほか、全閣僚による復興対策本部(仮称)も設置する意向。乱立気味で、意見集約が課題だ。
「組織のあり方については事務的に考えてほしい」。菅直人首相は最近、復興体制づくりについて総務省出身の滝野欣弥官房副長官らにこう伝えた。復興策の具体化に向けて、議論の場となる「器」を早急に整える狙いだ。
首相は1日の記者会見で「大きな夢をもった復興計画を進めたい」と表明。津波に襲われた三陸沿岸の復興策では、山を削った高台に住宅をつくるなど独自の街づくりプランを唱え、アイデアや計画を肉付けする組織として有識者や被災地関係者による復興構想会議を震災1カ月の11日までに立ち上げると語った。
政府高官は「復興に向けた総理のイメージは政府の対策本部、与野党協議、復興構想会議の三本立て」と解説する。首相が本部長となり全閣僚を集めた復興対策本部(仮称)を立ち上げ、復興構想会議や与野党協議で出されたアイデアを集約するという段取りだ。
1995年の阪神大震災の際は約1カ月後に政府の復興体制などを盛り込んだ基本法案が取りまとめられ、半年後には復興計画が策定された。今回も前例にならい、「まず組織のあり方などを盛り込んだ復興基本法案を政府案として取りまとめることになる」(内閣府幹部)という。
ただ、まだ見通しがはっきりしない。民主党が先行して取りまとめた復興基本法案では、防災復興府の新設や復興担当相ポストの設置が提案されている。これに対して、官邸側では防災復興府について「屋上屋を重ねるだけ」との慎重論が強く、復興担当相についても「大連立に連動する政治の話」(官邸スタッフ)として踏み込めない。