2011年4月9日15時0分
東京電力福島第一原発の1〜3号機の建屋外へこれまでに漏れた放射能の量は、原子炉内にあった総量の1割に満たない可能性が高い。格納容器が壊れて内部に残る放射能が放出されると、さらに広範囲で汚染が深刻になる恐れがある。専門家は、炉心に冷却水を循環させる継続冷却システムの確立を最優先にすべきだと訴えている。
原発の炉心には、核分裂反応に伴って生まれた膨大な量の放射能が存在する。米原子力規制委員会(NRC)の標準的な試算方法に1〜3号機のデータを当てはめて朝日新聞が算出したところ、1〜3号機には緊急停止した時点で、放射性ヨウ素が各130万〜230万テラベクレル(テラは1兆倍)、放射性セシウムが13万〜22万テラベクレルあったと推定できた。放射能はこのほか、1〜4号機の使用済み燃料の中にもある。チェルノブイリ原発の事故時の炉心内蔵量は推定でヨウ素が320万テラベクレル、セシウムが28万テラベクレルだったとされる。
外部への放出量はどうか。
原子力安全委員会が汚染の拡散予測に使ったヨウ素の大気への推定放出量は、3月12日から24日までに3万〜11万テラベクレルだった。一方、1〜3号機の建屋外にあるたて坑と坑道にたまった汚染水に含まれる放射能の総量は、東電の公表データをもとに計算すると、ヨウ素で4万テラベクレル程度、セシウムで1万2千テラベクレル程度となった。
建屋の外に漏れ出た放射能は、ほかに、その後の大気放出分や海への流出分などがあるが、多めに見積もっても内蔵量よりずっと少ない。外部に出にくいストロンチウムやプルトニウムなどの核種は、まだほとんど炉内にあるとみられる。