※当記事は「1万テラベクレル(1京ベクレル)毎時の放出が数時間と試算の謎」から改題。

早朝からネット上の報道が激しい。原子力安全委員会の発表を受け、新聞各社、テレビはNHKのみ(5:00現在)が福島第一原発が、1時間あたり1万テラベクレルの放出が数時間続いたことがあるとして、レベル7(チェルノブイリと同レベル)に引き上げると伝えている。1テラベクレルは1兆ベクレル、1万テラベクレルは1京ベクレルだ。

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『原子力安全委の班目(まだらめ)春樹委員長は、1時間当たり1万テラベクレルの放出が「数時間」続いたと推計。』(中日新聞)

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011041290022210.html

放射性のヨウ素131を、数十か ら数百京(けい)ベクレル放出したというチェルノブイリ原発事故に比べ、福島第一原発の放出量は少ないとされています。(NHK)

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110412/t10015249911000.html

原発事故からちょうど1ヶ月と1日。この1ヶ月という期間にはどういった意味があるのか。

1ヶ月後、政府・東電が奇妙な動きをたてつづけに

1ヶ月後に東電、政府側の態度が変わりすぎている。これだけのことが1ヶ月後に集中して起きていることは異常であり、意図を感じずにはいられない。

東電の清水社長の謝罪の申し入れと会見。

原子力安全保安院・西山英彦審議官「原発の安全性を信じてやってきた」発言。

コンピュータ監視法案の閣議決定。

20キロ圏外に計画的非難区域を設定。

菅首相の海外紙面への感謝文。

選挙。

レベル7に引き上げ。

選挙は態度の変化ではないが、あえて加えさせていただいた。これらが1ヶ月後に立て続けに起きたのは、決して偶然ではあるまい。推測にしか過ぎないが、選挙前にこれらを発表したときの民主党への風あたりの強さを考えると、選挙後に発表したほうがよいと判断した、と疑いを抱く人も少なくないだろう。

余談2つ

余談だが、やけくそといえばこの曲だ。

原発賛成音頭 タイマーズ

さらに余談だが、先週末、1年ぶりに訪れた馴染みの喫茶店の店主が、「息子が大きくなったよ」と教えてくれた。「息子が福島の自衛隊の後方司令部にいる。1号機の水素爆発を遠くから見たっていってたよ」と胸をはっていた。その後奥さんにお話を伺うと、心配で心配でたまらないと胸の内を明かした。また、自衛官の息子さんからは直ぐに電話で「報道は全て信用しないで、逃げて欲しい」と言われたという。店主は「暴力装置が日本を救おうとしてるんだからね」とつぶやいた。私は息子さんから、ロックバンドのイエスとイーグルスを教えてもらった。そのことを店主に伝えた後に、普段はジャズしか流れない店内にロックが流れた。息子を思う気持ちが音楽を通して伝わってきた。当時その息子さんは私が見る限りひきこもりで決して体力があるようには思えなかったが、今、原発で対処しているのか。筆者は、初めて福島とつながりをもった。息子さん頑張ってほしい。君から教えていただいたイーグルスとイエスを聞いて君を思う。

今日の原子力安全委員会が会見を受けて、追記していく。

「3万〜11万テラベクレル」から「1万ベクレル」に引き下げられた謎。(追記.6:30)

1万テラベクレルて何なのさと思って | ぬふふ.comにて、過去の報道情報を拾う。

 『  朝日の記事によると、同委員会の計算で、事故発生直後の12日から24日までに、放射線ヨウ素が1時間当たり3万~11万テラベクレルが放出された。

   IAEAの評価尺度では、数千から数万テラベクレル放出されるとレベル6だともされている。チェルノブイリのケースは、約180万テラベクレルだったため、このことを考慮すると、福島原発事故はレベル7とまでは言えないとしている。』(2011/3/25、福島原発事故「レベル6」に上がったのか 原子力安全・保安院が検討の可能性 (1/2) : J-CASTニュース

先月末には、本日の1万テラベクレル発表をはるかに超える量の放射性ヨウ素が放出されていたことが分かっていた。なぜ、今になって、1万テラベクレルの放出が数時間と試算して、レベル7に、2段階引き上げたのか。2段階レベルを引き上げる判断に18日程度かかったことになる。

しかも同時に、当初の発表「3万〜11万テラベクレル」から「1万ベクレル」に、大幅に数値が引き下げられている。

まんまと騙されレベル7を報道したメディア各社

レベルが引き上げられた裏で別の数値が下がった場合、メディアは、上がった方を取り上げるだろう。このトリックにメディアは見事に引っかかっている。8時12分現在のメディア各社の見出しは以下のとおり。

【原発】最悪の「レベル7」に引き上げへ(テレビ朝日)

東日本大震災:福島第1原発事故 政府、レベル7検討(毎日新聞)

政府、ついに「レベル7」認めた…福島第1原発事故(スポーツ報知)

福島第一原発事故、チェルノブイリと同じ「レベル7」か(IBTimes)

事故評価 最悪のレベル7へ(NHK)

福島第1事故、レベル7の可能性 安全委推計(中日新聞)

最大で1時間1万テラベクレル 国際尺度、最悪の7も(47NEWS)

福島原発、放射性物質最大1万テラベクレル放出か(日本経済新聞)

[原発事故1カ月]「想定外」では済まない(沖縄タイムス)

事故発生時は1万テラベクレルも放射性物質が放出されていた!ネットユーザー「なんで1カ月後に報道!?」(ロケットニュース24)

ベクレルの数値が引き下げられたことについて見出しで言及しているメディアはない。これこそが狙いではなかったか。「チェルノブイリ急のレベル7の事故ですが人体への影響は比べものにならないくらい低いですよ」という印象操作かもしれない。だが、当初の発表「3万〜11万テラベクレル」から「1万ベクレル」に、大幅に数値が引き下げられていることに疑いを持つ必要がある。

我々市民が心配なのは人体への影響だ。つまり「ベクレル」だ。レベルではない。レベル5だろうと7だろうと、それはあくまで国際的な原発事故のレベルに過ぎない。

先程のJ-CASTの記事では以下のようにも伝えている。

 『  経産省の広報班は、J-CASTニュースの取材に対し、「事態が変わったら、レベルの見直しはありえます。原子力安全委員会の計算も、参考にはします。しかし、具体的に今検討していることはありません」と言う。とはいえ、朝日は、記事の中で、今後放出量の見積もりが進めば、経産省がレベル上げの再検討をする可能性が高いとしている。』(2011/3/25、福島原発事故「レベル6」に上がったのか 原子力安全・保安院が検討の可能性 (1/2) : J-CASTニュース

事態が変わったらレベルの見直しをする、とのことだったが、どのように事態は変わったのか。1万テラベクレルとレベル7は、最後のカードではないだろう。更に最悪のカードを持ってしまったからこそ、このカードを切ってきたと筆者は疑う。その最悪のカードは、プルトニウムの大量放出と放射能海洋汚染によるチェルノブイリ超えだ。プルトニウムの放出については上杉隆氏がずっと訴え続けている。

海洋汚染に関しては、11日深夜、ロシアが日本に通告している。

『【モスクワ=遠藤良介】東京電力が福島第1原子力発電所から低レベルの汚染水約1万1500トンを海に放出した問題で、旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)で現場処理の責任者を務めたオストレツォフ氏や環境専門家ら3人が11日、モスクワ市内で記者会見し、日本の措置を「国際犯罪だ」と強く批判した。

出席者らは、汚染水の放出がロンドン条約(廃棄物などの投棄による海洋汚染の防止条約)に抵触すると主張。「日本は汚染水に含まれる物質を明らかにせず、その影響に関する科学的予測もなく放出した」「汚染水は石油ターミナルなどに貯蔵して処理することもできるはずだ」などと述べた。

ロシアは日本の支援で建造された放射能汚染水の海上処理施設「すずらん」を福島に送る考えも示しており、出席者からは「日本は迅速に(受け入れの)決定をするべきだ」との声も上がった。

オストレツォフ氏は産経新聞の取材に「まずは放射能汚染を局地化するための“障壁”設置を急ぐべきであり、それを石棺で原発を覆うための第1段階と位置づけるべきだ」と指摘。「状況は日本人が考えている以上に深刻だ。少なくとも北東アジア全体にかかわる国際問題として受け止めてほしい」と話した。

ロシア外務省は今月7日、汚染水の放出について「今後は排出を容認しない措置を取るよう望む」との声明を出し、不快感を表明した。』(2011.4.11 22:32)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110411/erp11041122330008-n1.htm

追記11:30)

ただいま会見が行われている。

東電単独会見と、原子力安全保安院と原子力安全委員会合同会見、が同時に行なわれている。これは、一方の発言を受けて精査した上で、もう一方に発言することを防ぐ狙いがある。

保安院の西山氏が答えに窮したところを、委員会の人物が助け舟を出す箇所がある。推進の立場と監視する立場が不明確になっている。

以下、メモ書き。正確ではないおそれがある。

・チェルノブイリの放出総量の1割前後で、安全だ(原子力安全・保安院)

・チェルノブイリを越えるかもしれない放出量(東電)

総放出量について。

・10の17乗ベクレルは超える(原子力安全・保安院)

・63万テラベクテル(原子力安全委員会)

・現時点では公表できる段階ではない(東電)

・INESは大気中の放射量の総量のみ。海への流出は別。日本独自に算出して発表していく。

・100ミリシーベルト以上、被ばくした人は21人。

・現時点では暫定の放出総量。最終的にチェルノブイリの何割かは言えない。放出量は少なくなってきているが。(委員会)

・チェルノブイリと違い格納容器は原型をとどめている。

枝野「チェルノブイリの場合と違いまして、直接的な健康被害を出さないでここまで来られました。」

 

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