フィリピン政府は、中国が南シナ海全域の領有を主張していることに抗議する文書を国連に提出し、フィリピンの石油探査船に艦艇が接近するなど中国がこの海域で活動を活発化させていることへの対抗姿勢を強めています。
南シナ海を巡って中国はおととし、その全域の領有権を主張する文書を国連に提出し、東南アジア諸国が強く反発しています。この問題で、フィリピンの国連代表部が今月、中国に抗議する文書をパン・ギムン事務総長に提出していたことが12日、明らかになりました。この中でフィリピンは、南シナ海の南沙諸島や周辺海域はフィリピンが領有しており、中国の主張には国際法上の根拠がないとしています。フィリピンは先月、南沙諸島付近で活動中の石油探査船に中国の艦艇2隻が接近して活動を妨害したとして中国政府に抗議しています。フィリピンは、ほかの東南アジア諸国と同様、中国の経済成長の恩恵を受けている側面もあり、去年、中国の民主活動家、劉暁波氏に決まったノーベル平和賞の授賞式を欠席するなど、対中関係に一定の配慮をしてきました。今回のフィリピン政府の対応は、ここに来て南シナ海で活動を活発化させる中国に対し、東南アジア諸国が対抗姿勢を強めていることを象徴するものとなりました。