ふじい りょう(Parsley)
最近、総務省からインターネット上での流言飛語への関係団体への要請(参照)が出されて、「そんなにネットでデマって広がっている?」と懐疑的だったParsleyですが、自分も住んでいる自治体絡みでパニックになっている様子を見てしまったので、そのメカニズムも含めて検証してみたい。
川崎市、福島から震災の粗大ごみ受け入れ(YOMIURI ONLINE)
2chを見てみると、ニュース速報板にスレが立っていて、こちらでも汚染に対する懸念や阿部市長、福島県知事への怒りの声が大勢を占めていた。(参照)
さらに凄かったのが鬼女板こと既婚女性板。「汚染物質を持ってくるなんてとんでもない!」という憤怒からはじまり、関係部署や周辺自治体、議員達に電話・メールをしようといった運動が起きていた。(4月13日現在、2スレ目)
まず、ここでポイントなのが、読売のソースでは「粗大ごみを受け入れる」という記載のみで、「放射性汚染物質」を処理するとは一切書かれていない、ということ。にもかかわらず、多くの読者は「福島の粗大ゴミならば汚染物質でも何でも受け入れる」と読んでしまった、ということになる。つまり、「書かれていない」ということが、誤解と不安を呼ぶ結果になっている。
こういった市民やネットユーザーからの反応があったためか、川崎市は11日にHPに「被災地から発生した災害廃棄物の受入れ」というお知らせを掲載した。
まず、最初の情報である読売新聞の記事が出てから3日が経過していて、記事を読んだひと全てがこの情報を参照したとは思えない。2chの該当スレでリンクは貼られていたのを数箇所見かけたが、それによって不安を払拭するには至っていなかった。
そして、何よりも、多くのひとが、国・東京電力・原子力保安院の発表をハナから信用しておらず、「福島=原発汚染」という図式が強固に成り立ってしまっており、その福島の「ゴミ」が住んでいる街(の近く)にやってくる、という情報を得てパニック寸前になっている様子があちこちで見受けられた。
そして、パニック寸前になっている人には極めつけのダメ押しになったのが、武田邦彦中部大学教授の記事。
川崎市、福島から震災の粗大ごみ受け入れ(YOMIURI ONLINE)
川崎市の阿部孝夫市長は7日、福島市内で佐藤雄平・福島県知事と会談、東日本大震災で大量発生した木材などの粗大ごみを受け入れるほか、ごみ収集車、消防車などを提供し、復興を支援する考えを伝えた。へー阿部ちゃんなかなかやるじゃない、と思ってtwitterの反応を見て愕然。放射性汚染物質を川崎まで運んで処理することへの懸念・反対・怒りの声に溢れていたのだ。(twitterの反応&Ceron.jpの該当ページ)
阿部市長は福島市出身。市長によると、被災地の粗大ゴミは、貨物列車で運搬し、川崎市内の処理施設で焼却する。既にJR貨物と調整を進めており、月内にも始まる見通し。復興の過程で必要となる車両は、消防車10台、バス二十数台などを提供する。
阿部市長は「福島県は地震、津波、原発、風評被害の『四重苦』に苦しんでおり、(福島で育った)自分も身を切られる思い。早期復興に役立てれば」と話した。甚大な被害を受けた宮城、岩手の両県についても、「要望があれば対応していく」としている。
(2011年4月8日15時13分 読売新聞)
2chを見てみると、ニュース速報板にスレが立っていて、こちらでも汚染に対する懸念や阿部市長、福島県知事への怒りの声が大勢を占めていた。(参照)
さらに凄かったのが鬼女板こと既婚女性板。「汚染物質を持ってくるなんてとんでもない!」という憤怒からはじまり、関係部署や周辺自治体、議員達に電話・メールをしようといった運動が起きていた。(4月13日現在、2スレ目)
まず、ここでポイントなのが、読売のソースでは「粗大ごみを受け入れる」という記載のみで、「放射性汚染物質」を処理するとは一切書かれていない、ということ。にもかかわらず、多くの読者は「福島の粗大ゴミならば汚染物質でも何でも受け入れる」と読んでしまった、ということになる。つまり、「書かれていない」ということが、誤解と不安を呼ぶ結果になっている。
こういった市民やネットユーザーからの反応があったためか、川崎市は11日にHPに「被災地から発生した災害廃棄物の受入れ」というお知らせを掲載した。
本市では、福島県や宮城県等への被災地の復興支援のひとつの取組として、今回の震災及び津波に伴って発生した災害廃棄物の受入れについての支援を表明したところです。市の公式発表で、「放射能汚染など市民の健康に影響のない廃棄物を受け入れる」と明記してあるのだから、これで一件落着。…とならないのが怖いところ。
災害廃棄物の本市への受入れにあたりましては、国等において、災害廃棄物の処理に関する全体的な計画が示された段階で、その計画に基づき、関係自治体とも協議しながら、市民の健康と安全を第一に処理の体制を検討していくこととなります。また、実際の受入れに際しましては、放射能汚染など市民の健康に影響のない廃棄物を受け入れることとなります。
今後、災害廃棄物の処理計画については、市ホームページ等でお知らせしていきます。
本市では、今後も引き続き、様々なかたちで被災地への積極的な支援を行ってまいりますので、御理解、御協力をよろしくお願いいたします。
まず、最初の情報である読売新聞の記事が出てから3日が経過していて、記事を読んだひと全てがこの情報を参照したとは思えない。2chの該当スレでリンクは貼られていたのを数箇所見かけたが、それによって不安を払拭するには至っていなかった。
そして、何よりも、多くのひとが、国・東京電力・原子力保安院の発表をハナから信用しておらず、「福島=原発汚染」という図式が強固に成り立ってしまっており、その福島の「ゴミ」が住んでいる街(の近く)にやってくる、という情報を得てパニック寸前になっている様子があちこちで見受けられた。
そして、パニック寸前になっている人には極めつけのダメ押しになったのが、武田邦彦中部大学教授の記事。
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