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東日本大震災:福島第1原発事故 1、2号機通電へ 5、6号機は冷却開始

 東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の事故で、政府と東京電力は19日、外部電源を復旧し、冷却機能を取り戻すためのケーブルの敷設作業を継続した。作業は建屋が壊れておらず外から放水できない2号機から優先的に行い、1、2号機を同日中に復旧させる予定。また、経済産業省原子力安全・保安院は「5、6号機は使用済み核燃料プールの冷却が始まった」と発表した。

 保安院によると、2号機へのケーブル接続作業は18日までに変圧のための配電盤を設置し、19日午前中に2号機建屋内へのケーブルの接続を終了。長さ約1500メートルのケーブル(仮設6900ボルト高圧線)を外部電源に接続する作業をした。通電後、非常用ディーゼル発電機やポンプなどを冷やす「補機冷却水ポンプ」を優先的に動かす予定で、機器に損傷がないかなどを確認することが課題という。

 5、6号機については、これまで唯一非常用ディーゼル発電が起動していた6号機で、2台ある非常用ディーゼル発電機のうち、津波で止まっていた発電機を点検したところ起動することができた。電力を共有している5号機でも、プールを冷却するポンプが稼働した。また、東電は使用済み核燃料プールから発生する水素による爆発を防ぐため、各原子炉建屋の屋根に30~75ミリの3カ所の穴を開けたことを発表した。

 また、東京電力は19日、福島第1原発で復旧作業中の作業員について、従来の放射線の累積被ばく総量限度の100ミリシーベルトを超え始めたことを明らかにした。東電によると、同原発内では18日朝現在、関連企業を含め279人が復旧作業中。全般的に放射線量が高く、構内の建物内でも100ミリシーベルトに近づく作業員が増えていた。こうした中、野外で作業するなど複数の作業員が100ミリシーベルトを超え始めたという。東電は限度を150ミリシーベルトに引き上げると共に、作業員の放射線量の管理を徹底する方針。

 国は既に、同原発で緊急作業に当たる作業員に限り、被ばく線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトへと引き上げている。

 一方、東海地震の危険性が指摘されてきた中部電力浜岡原発について、保安院の西山英彦・大臣官房審議官は18日の会見で、今回の大震災を受けた緊急停止の可能性について問われ「重要な問題として考えなければいけないと思う。緊急停止はいろいろなことを考えなければいけないので、簡単にはできないが、国としては(議論することを)検討すべきだと思う」と述べた。【関東晋慈、日野行介、酒造唯、江口一】

毎日新聞 2011年3月19日 東京夕刊

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