事件・事故・裁判

文字サイズ変更

東日本大震災:福島第1原発事故 「屈折放水塔車」に期待 海水くみ上げ高所から

 福島第1原発3号機に向け19日未明に放水活動を始めた東京消防庁のハイパーレスキュー隊は、折り畳み式の放水塔を持つ「屈折放水塔車」を使い地上22メートルから水をかけた。自衛隊の消防車両と違い高所から放水できる上、一度設定すれば無人で放水し続けることが可能なため、より大きな冷却効果が期待される。

 同隊は18日、送水車とホース延長車で構成する遠距離大量送水装置「スーパーポンパー」で原発近くの岸壁から海水をくみ上げ、屈折放水塔車で放水する計画を立てた。しかし、岸壁が崩壊していたため手順を変更。隊員が交代で車外に出て、手作業でホースを海まで延ばし、翌日未明に放水にこぎ着けた。

 屈折放水塔車は毎分3・8トンの放水が可能だが、19日は午前0時半から約20分間放水を継続し、毎分約3トン、計約60トンを放水した。

 作業には139人と車両30台を派遣した。最初の放水には防護服を着た13人、車両5台で臨んだが計画変更で増員。隊員の累積被ばく総量限度を100ミリシーベルトに設定していることなどから19日午前、交代要員として新たに102人を派遣した。他に毎分5トンを放水できる大型化学車や放射性物質など7万種類のガス状物質を分析・特定する特殊災害対策車、40メートル級のはしご車も既に派遣されている。

 ハイパーレスキュー隊は95年の阪神大震災を機に創設され、02年にNBC(核、生物、化学)テロ専門部隊も設置。04年の新潟県中越地震で土砂崩れ現場から2歳男児を救助して注目され、2月のニュージーランド地震にも出動した。【伊澤拓也、合田月美】

==============

 ■福島第1原発3号機への放水量

<17日>・自衛隊ヘリ2機4回計約30トン

・警視庁高圧放水車1台約44トン

・自衛隊高圧消防車5台計約30トン

<18日>・自衛隊高圧消防車7台計約50トン

・東電(米軍消防車1台)約2トン

<19日未明まで>

・東京消防庁屈折放水塔車約60トン

毎日新聞 2011年3月19日 東京夕刊

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

PR情報

スポンサーサイト検索

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画