福島第1原発の事故を受け、厚生労働省は17日、食品の放射能汚染について初めて暫定的な基準を設け、上回る場合は出荷や販売をやめるよう都道府県や政令市に通知した。事故後の食品の風評被害を防ぎ、安全性の目安を明確にする目的。国産食品に対し、初めて放射能検査が行われることになる。出荷や流通、店頭などの段階で自治体が抽出し、保健所などで調べる。大塚耕平副厚労相は「品目や対象は自治体の判断による」と話している。
基準は原子力安全委員会が定める「飲食物摂取制限に関する指標」を暫定的に用いる。飲料水、牛乳・乳製品では1キログラム当たりの放射性ヨウ素が300ベクレル、放射性セシウムが200ベクレルなど。100ベクレルを超えるものは、乳児用の調整粉乳や飲用乳には使用できない。
基準を上回った食品はまだ確認されておらず、農水省などによると、福島県で避難指示や屋内退避指示が出ている原発周辺30キロ圏内からは事故後は出荷されていない。【野倉恵、行友弥】
毎日新聞 2011年3月18日 東京朝刊