菅直人首相は16日、東京電力福島第1原発3、4号機が冷却機能を喪失したことを受け、防衛省に陸上自衛隊のヘリコプターによる同原発3号機などへの上空からの海水投下を指示、同省は実施に向けた準備活動に踏み切った。しかし、この日は放射線量のモニタリング調査の結果、防衛省が定める隊員個人の累積被ばく総量限度50ミリシーベルトの約4倍に当たる数値が上空で観測されたため、断念。一方、警察庁は16日、温度上昇で水が蒸発した可能性もある4号機の使用済み核燃料プールに注水して冷却するため、地上から放水を実施する方向で検討に入った。現場の放射線量を計測して作業可能と判断した場合は、17日にも放水を開始する。
防衛省は17日も上空のモニタリング調査を行い、安全が確認されれば海水投下を試みるが、放射線量が下がる見通しは立っていない。また、北沢俊美防衛相は16日、「(東京電力に)米軍の車両が貸与されており、東電が(使用のための)特殊な機能を習得しようとしている」と述べ、東電が米軍から提供されたポンプ車で消火に当たるとの見通しを示した。
警察庁は放水作業に、警視庁機動隊の高圧放水車を使うことを検討している。関係者によると、放水を行う場合には、自衛隊の防護服を使うなどして隊員の安全を確保する。【本多健、犬飼直幸、坂口裕彦、鮎川耕史】
毎日新聞 2011年3月17日 東京朝刊