07年の新潟県中越沖地震の際、東電柏崎刈羽原発で地震が原因による初めての火災が発生したことを受け、経済産業省原子力安全・保安院は同年、全国の原発に対し、原発の作業員らで構成する自衛消防体制の強化を指示。今回火災が起きた福島第1原発でも化学消防車が配備され、協力企業の社員で構成する自衛消防隊が組織されている。だが、作業員が浴びる放射線の限度が定められていることなどを理由に、今回の被災後は十分な人手を確保できていない。
また、4号機で炎が上がった付近には、使用済み燃料などを冷やすためのプールがある。建屋の外壁には8メートル四方の穴が二つ開いており、プールは外気にさらされている。
保安院によると、4号機はプールの水を冷却する装置が作動せず、沸騰しているとみられる。露出した燃料棒から放射性物質が放出され続けている可能性もあり、危険な状態が続いている。
海江田万里経産相は15日夜、東電に対して、冷却のため、プールへの注水を速やかに行うよう原子炉等規制法に基づく命令を出した。保安院は「(注水を)早急に成し遂げていただかないと困るので、命令を出した」としている。【八田浩輔】
毎日新聞 2011年3月16日 東京夕刊