文部科学省が大気中の放射線量の計測を都道府県に委託している「モニタリングポスト(自動観測局)」のデータについて、複数の自治体に公表しないよう指示していたとして、笹木竜三副文科相は15日夜の記者会見で「不安を抱えている住民に対して、更に心配をかける結果になり申し訳ない」と謝罪した。
文科省は東日本大震災発生の翌12日、全都道府県にモニタリングポストのデータを毎時間ごとに報告するよう指示した。その際、複数の自治体から「時系列の変化を公表してもいいか」と問い合わせがあったが、担当者が「関係者や上司の了承が必要なので公表は待つように」と回答し、そのまま放置していた。このため、放射線量の数値を住民に伝えられなかった自治体があった。
こうした不適切な指示の一方で、文科省は「数値の変化に気を付けてほしい」と呼びかけていた。森口泰孝審議官は「担当者に『国のデータを自治体が勝手に公開していいのか』という思いがあったようだ。適切な対応ができなかった」と説明。笹木副文科相は「自治体には国のデータであっても、住民のためにためらわずに公表してもらうよう求める」と述べた。【篠原成行】
毎日新聞 2011年3月16日 東京朝刊