放射能の害から身を守る方法 岡部賢二

放射線の害から身を守る食べ物

この時に、陰性の強い砂糖を含む食べ物や、果物、アルコールなどを摂取すると、非常に危険であるということです。反対に塩は砂糖と比べると陽性で収縮性が強く、きゅうりやナスを塩でもんだり、塩漬けしておくと縮んでいきます。ですからこの塩を上手に使うことで、放射線から身を守ることができるのです。30cmの塩の壁を造ると放射線は透過できないといわれています。人間の場合も同様で、海水を煮詰めて作った良い塩気をしっかり補給して体内に循環させておけば、放射線の害から身を守ることができます。
また、アミノ酸やクエン酸などの酸には放射線を排泄する力があるといわれています。ですから塩気で放射線をブロックし、酸で排泄すればよいわけです。そこで注目されているのが伝統製法の味噌や梅干し、醤油、漬物といった発酵食品です。それらの食品には塩気とアミノ酸、クエン酸などの酸の両方が含まれるので、放射線対策にぴったりの食品です。実際、味噌のジコピリン酸というアミノ酸に放射性物質を排泄する働きが強いことが報告されています。チェルノブイリ原発で事故が発生した当時、ヨーロッパの自然食愛好家の間で味噌を食べようという運動がおこり、日本から大量の味噌が援助物資として送られたそうです。
発酵食品は微生物が作用することで、メラノイジンなどの抗酸化物質が蓄えられています。酸化した細胞を元に戻す働きが最高に強い還元食品が発酵食品であるといえます。

海藻や黒焼きを活用

さらに、海藻のヨードにも放射線の害から身を守る働きがあることが知られており、原子力発電所でもヨード剤が配備されているそうです。ですから昆布で出汁をとり、ワカメやフノリを入れた味噌汁であれば、放射線対策に抜群の威力を発揮できるはずです。放射線治療やレントゲン検査を受ける前は味噌汁や梅醤番茶、鉄火味噌、梅干し、胡麻塩などを、飲んだり食べたりしておくとその害から身体を守ることができます。
炭がマイナスイオンを発生し、解毒や浄化という還元力をもつように、黒焼きにした食物にも同様の働きが期待できます。玄米を火で焼きしめて陽性化した黒炒り玄米に少しの塩か梅干しを入れて煮だした黒炒り玄米スープには、陰性な放射線を吸着する働きがあります。放射線や照射食品に対抗するためには、時々、このようなスープを飲んで身体を浄化しておくとよいでしょう。また梅干しや昆布を焼きしめて作った梅干しの黒焼きや昆布の黒焼きを常備しておくと、放射能漏れ事故が起きた時などに役に立つと思います。

放射線の対策

少食で還元力を高める

食べるということは、食べ物を胃腸で燃やすことでエネルギーを得ている状態です。ことばを変えれば、「食べ物を酸化させ、酸化(熱)エネルギーを得ること」といってもよいでしょう。ここで問題なのは、酸化によって活性酸素という燃えカスが大量に発生し、さまざまな悪さをすることなのです。
本来は病原菌などを攻撃し、排除するために使われる活性酸素ですが、過剰な活性酸素は血液にダメージを与え、貧血の傾向を作ったり、ベタベタ、ドロドロの流れの悪い血液を作り出したりします。その結果、肩や首がこるなどの症状や節々の痛みが出てきます。
さらに過剰な活性酸素は細胞を破壊し、アトピー性皮膚炎のような症状を引き起こしたり、遺伝子に傷をつけてがんになりやすい状態を招いたりするのです。
人間は食べる量が増えるほどにサビも増えていきます。酸化は人間の活動エネルギーを作り出す大事な働きですが、一方で老化を早め、寿命を縮めるマイナスの作用をもっています。いやおうなく体内に侵入する食品添加物や農薬が入ってきたときにも、活性酸素が増えることがわかっています。また電磁波やレントゲンなどの放射線を受けたときだけでなく、精神的なショックを受けたときにも、活性酸素が大量発生するのです。
ですから、少食や素食を心がけ、時々プチ断食をしたり、気持ちをいつも明るくしていると、酸化に歯止めをかけ、血液をサラサラ状態に保つことができます。
さらに、血液の流れをよくし、免疫力を上げるためには、マイナスイオンを濃縮した食べ物を摂る必要があります。病的な細胞で発生している活性酸素に水素電子を与え、酸化を防ぐのは野菜や穀物の中のポリフェノール(抗酸化色素)などの働きです。イノチある自然の野菜や穀物にはこのポリフェノールや抗酸化ビタミン、抗酸化ミネラル、抗酸化酵素などの血液サラサラ成分が濃縮して含まれています。
このような生命力の高い食べ物に、伝統的な発酵食品や黒焼きなどを組み合わせて活用することで、放射線に負けない元気な身体づくりをしていきましょう。

ムスビの会主宰 フードアンドメディカルコンサルタント 
月刊マクロビオティック(日本CI協会発行)2009年9月号「病気にならないないマクロビオティック生活」より