レベル7で輸入規制の拡大懸念 政府、海外へ情報開示急ぐ政府は12日、東京電力福島第1原発事故の国際的な評価尺度を最悪の「レベル7」としたことを受け、周辺各国・地域に現状や事故対策の説明を急いだ。国内産の農産物や加工食品などの輸入規制が国際的に広がるのを懸念。国際会議などでも福島原発の安全問題が主要議題になることを想定し、情報開示を徹底することで信頼維持を目指す考えだ。 菅直人首相は12日の記者会見で、レベル7への引き上げについて「専門的な調査の結果だ」と強調。「(発表が)遅れたとか、(事故を)軽く見たことはない」と訴えた。 松本剛明外相は、政府は評価見直しを発表するのに先立ち、関係国や国際原子力機関(IAEA)に通報したことを明らかにした。放射性物質に汚染された水を海に放出する際には、周辺国・地域への通知が遅かったと批判を浴びただけに、今回は国際的な情報開示が遅れないように配慮したとみられる。 今月17日にクリントン米国務長官が、20~23日にはオーストラリアのギラード首相がそれぞれ訪日する予定。5月の主要国首脳会議に向け、首脳、閣僚級の外交交渉が相次ぐ。日本政府の対応の遅さを厳しく批判している海外メディアもある。韓国政府は事故の復旧が進まないことに不快感を示しているほか、中国政府も迅速な説明を要請するなど「原発事故への世界の関心は大変大きい」(海江田万里経済産業相)。日本政府は事故の実態や対策を率直に説明することを迫られている。 14日からワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席する野田佳彦財務相は、「原子力災害の現状と今後の取り組みをきちっと説明したい」としている。 海外では、日本の食品や農産品、工業製品の一部の輸入を規制する動きも出ている。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故と同じレベル7となったことで、同事故の記憶が今も根強い欧州などでは不安が一層拡大する恐れもある。「レベル7の影響がどう出るかは分からない」(政府筋)との警戒感が強まっている。 【共同通信】
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