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【プロ野球】

東北に届いた 嶋希望のアーチ 星野監督初陣一勝

2011年4月13日 紙面から

決勝3ランを放ち、星野監督(右)に迎えられる嶋

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◇楽天6−4ロッテ

 楽天が、東日本大震災で被災した東北の人々に大きな1勝を届けた。12日、QVCマリンフィールドで行われたロッテとの開幕戦を6−4で快勝。チームにとっては2年ぶり3度目の開幕戦勝利。星野仙一監督(64)にとっては会心の復帰初戦となった。選手会長の嶋基宏捕手(26)が7回に放った勝ち越し3ランが試合を決めた。試合中には強い余震が球場を襲ったものの、震災にも決して屈しない楽天ナインの底力を見せつけた。

 大歓声とどよめきの中、白球が左翼スタンドに吸い込まれていく。勝ち越し3ランを決めた嶋は握っていたバットを放り出すと、人さし指を天に突き上げた。

 「東北のみなさんと一緒に戦っていく。その気持ちがあの打球になった。芯を食っていたので越えてくれると思っていました」。1−1で迎えた7回2死一、三塁。成瀬の初球、外角高めへの137キロ直球を完璧にとらえた。昨年3本、通算でも6本塁打の男が放った試合を決める一発。ダイヤモンドを一周してきた選手会長に、星野監督は「よっしゃー」と大絶叫しながら出迎えた。

 まさに夢心地の展開。指揮官は「勝ったのかというか、夢を見ているというか、そんな感じ。ほっとしたというか。嶋の底力。これを見た」とキツネにつままれたような不思議そうな顔を浮かべながら、喜んだ。

 3月11日の大震災発生から長い道のりだった。本拠地・仙台への帰還がかなわず、日本列島各地を転々。今月7、8日に1泊2日の強行軍で一時帰郷したが、指揮官は選手の調整が台なしになることも覚悟したという。

 ところが現場では「来てくれてうれしかった」という声ばかり。勇気や元気を与えるどころか、逆にパワーをもらった。わずか数時間だったものの、血の通った交流が結果的に勝利を呼び込んだ。宿舎出発前、星野監督は選手たちに「君たちの優しさは東北の人たちに受け入れられた。今度は強さを見せよう。決して諦めない強さを見せようじゃないか」と呼び掛けた。ナインは、被災地の人たちに届けとばかりに、諦めない頑張りを見せて、勝った。

 ヒーローの嶋は“有言実行”の一打となった。2日に札幌ドームで行われた日本ハムとのチャリティーマッチ。試合前に「見せましょう、野球の底力を、見せましょう、野球選手の底力を。見せましょう、野球ファンの底力を」とスピーチしたが、誓った通りの見事な働きだった。試合後は「あと143試合。僕たちも全力でプレーします。熱い応援をお願いします。一緒に戦っていきましょう」と呼び掛けた。東北の被災地で苦しむ人々と楽天ナインはまさに一心同体。“がんばろう東北”の合言葉のもとに、これからも勝って勝って勝ちまくる。 (鶴田真也)

 

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