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元主任検事に実刑判決 証拠改ざん事件 懲役1年6カ月

2011年4月12日11時20分

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写真前田恒彦被告=昨年9月、大阪地裁

図拡大FD改ざん事件などを巡る動き

図拡大FD改ざん事件の構図と判決の認定内容など

 大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータが改ざんされた事件で、証拠隠滅罪に問われた元主任検事前田恒彦被告(43)=懲戒免職処分=の判決が12日、大阪地裁であった。中川博之裁判長は「刑事司法の根幹を破壊しかねない悪質な犯行だ」と述べ、懲役1年6カ月(求刑懲役2年)の実刑判決を言い渡した。

 検察側は先月17日の論告求刑で「検察への国民の期待と信頼を裏切った」と指摘し、証拠隠滅罪の法定刑(2年以下の懲役または20万円以下の罰金)で最も厳しい刑にすべきだと主張。判決が実刑を選択するかどうか注目されていた。

 前田元検事は2009年、自称障害者団体が郵便割引制度の適用を受けるための偽の証明書が厚生労働省から発行された事件の捜査を担当。厚労省の村木厚子元局長(無罪判決確定)を6月に虚偽有印公文書作成・同行使容疑で逮捕し、否認のまま起訴した。

 判決はまず、前田元検事が起訴から9日後の7月13日、元局長が偽証明書の発行を厚労省元係長の上村(かみむら)勉被告(41)=公判中=に指示したとする捜査の見立てに合わせるため、FD内の証明書が最後に上書きされた日時を「04年6月1日」から「04年6月8日」に改ざんしたと認定した。

 そのうえで量刑について検討。村木元局長の無罪を示す証拠となり得るFDが元局長らの公判に持ち出されて紛糾することなどを恐れて改ざんしており、有罪立証の妨げになる「消極証拠」とも誠実に向き合わなければならない検事の行為としては常軌を逸したものだった、と非難。「刑事裁判史上例を見ない犯罪だ」と判断した。

 前田元検事は最高検の捜査段階で、当時の特捜部長大坪弘道(ひろみち)被告(57)=犯人隠避罪で起訴、懲戒免職処分=と副部長佐賀元明(もとあき)被告(50)=同=に改ざんを報告したが、隠すよう指示されたと説明。供述調書は公判で証拠採用された。

 しかし、判決はこの隠避事件には言及しなかった。大坪元部長らは最高検の構図を全面的に否定しており、秋以降にも始まる公判に配慮したとみられる。

 改ざん事件は昨年9月21日に朝日新聞の報道で表面化し、最高検が同日中に前田元検事を逮捕。法相が事件後に「検察の在り方検討会議」を設置し、同12月には大林宏検事総長(当時)が引責辞職した。(平賀拓哉)

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