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編集委員会委員長 山 下 宏 文 |
エネルギー環境教育の重要性
これからの教育は、基礎的・基本的な知識や技能を習得し、その知識や技能を活用して社会に参画できることを、育成すべき学力として定めています。それは、子ども達が、これからの社会の中でよりよく生きていくためには、単に知識や技能をもっているだけではだめで、それらを自分の生き方や社会のあり方に生かしていくことが必要なのだという考え方に基づいています。
私たち大人は、子ども達のりっぱな成長と大人になってからの幸せな人生を願っています。しかし、願っているだけではだめなのです。これから子ども達が生きていかなければならない社会をしっかり想定し、その社会の中でよりよく生きていくためには、どんな知識や技能が必要となるのか、どんな資質や態度が求められるのかをはっきりさせることが必要なのです。
これからの社会は、「持続可能な社会」の実現に向かっていかなければなりません。これは、日本だけのことではなく、全世界に与えられた課題でもあります。この方向に進めなければ、私たち人類は生存すら脅かされることになるのです。21世紀は、持続可能な社会への転換が図られ、将来の世代が現在と同じような生活を維持していくことができるようになるのか、あるいは、生活の維持どころか生存すら脅かされる社会になっていくのか、まさに分かれ道の世紀なのです。そして、こうした世紀を生きる主人公が、まさに今の子ども達に他なりません。
「持続可能な社会」を実現するうえで、もっとも大きな課題はエネルギーの問題です。私たちは、エネルギーを大量に消費することによって現在の生活を維持してきましたが、そこに大きな壁が立ち現れてきたのです。
まず、これまでのエネルギー資源の中心であった石油を代表とする化石燃料の限界が見えてきたことです。このまま使い続ければ、何世代か後の子孫はそれが使えないということになってしまいます。
また、日本はこれらのエネルギー資源をほとんど輸入して使っているのですが、自国だけでまかなえるエネルギーは、何と4%という低さなのです。しかし、今後もエネルギー資源を安定的に確保していかなければ、現在の生活を維持することはできません。
さらに、化石燃料の大量消費などによって、地球温暖化が進んできています。地球温暖化は、二酸化炭素を始めとする温暖化効果ガスの影響であることが明らかになってきていますが、これはまさにエネルギー利用のあり方に関する問題です。
こうしたエネルギーの問題の解決なくして、「持続可能な社会」の実現は不可能です。私たち大人もこの問題の解決に真剣に取り組まなければならないのですが、子ども達にはこうした問題の解決に立ち向かっていけるような力を身につけてあげることが必要です。つまり、エネルギーの問題や地球温暖化の問題に対応できる教育が必要なのです。そして、まさにこの教育のあり方がエネルギー環境教育に他なりません。
「ひらけ!エネルギーのとびら」は、こうしたエネルギー環境教育を進めるための教材として作成したものです。エネルギー環境教育は学校だけで行えばよいというものではありません。この教材を活用して、ご家庭でも、お子さんといっしょに調べたり、実験したり、つくったり、話し合ったりしながら、エネルギーの問題や地球温暖化の問題を考えていただけることを願っています。
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編集委員会委員長 山 下 宏 文 |
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