農業の人には悪いのですが、農業の人も「消費者に安心して食べてもらう食材」の生産に励んでおられたと思います.それが前提です.
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ホウレンソウが汚染されていたとします.普段なら「ホウレンソウだけが放射線で汚染されている」という事なので、「そのホウレンソウが基準値を超えていなければ食べて良い」のです。
しかし、現在のように空気(外部線量)、それを吸い込んでの内部被曝、野菜、魚、水、土壌など全てが汚れていると、ホウレンソウも他の被曝に足さなければなりません.
たとえば、次のようなことです。
【普通の時】
空気 0
水 0
内部 0
ホウレンソウ 10
小松菜 0
大根 0
牛乳 0
こうなご 0
合計 10
となりますから、ホウレンソウは規制値以下なら大丈夫です.
ところが、「環境が汚染されているとき」(時期は1年ぐらい)は、状態が違います.
【汚染時】
空気 10
水 2
内部 10
ホウレンソウ 10
小松菜 3
大根 1
牛乳 5
こうなご 10
合計 51
となります。つまり一つ一つは「規制値内」でも「足し算」をしなければなりません。
少し前に「かけ算のできない東大教授」と書きましたが、先日の東電の魚汚染の発表は「足し算のできない東電」ということです。
むやみに怖がる必要はありませんが、ここ半年ぐらいは、「基準値以下でも、できるだけ被曝を避ける生活」が大切です.
個人の事情、体力などに合わせて、できる範囲で被曝を減らすこと、これが放射線防御の基本です.
(農業、漁業の方の考え方はまた別の機会にします)
(平成23年4月9日 午前9時 執筆)
武田邦彦
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