事件・事故・裁判

文字サイズ変更

東日本大震災:福島第1原発また爆発 3号機、建屋吹き飛ぶ 6人けが

 ◇住民屋内退避指示

 東日本大震災の被災地では14日も、被災者の救出作業が続いている。毎日新聞のまとめでは、14日正午現在、死者は2900人超に上り、行方不明は2万人。東京電力福島第1原発3号機では午前11時ごろ、1号機と同様の水素爆発が発生し、6人がけがをした。東京電力が実施すると発表していた計画停電は、供給能力が想定より増えたことや需要が低く抑えられたなどの理由で、午後0時半現在実施されていない。ただ、東電の説明が途中で変更されるなど、対応は混乱している。

 経済産業省原子力安全・保安院は14日、東日本大震災で緊急停止した東京電力福島第1原発3号機で午前11時1分、1号機と同様に水素爆発が起きたと発表した。原子炉建屋(たてや)の上部外壁が吹き飛んだとみられる。東電によると、社員4人、協力会社2人の計6人がけがをした。いずれも意識はあるという。保安院によると、原子炉内の水位低下で露出した燃料棒が過熱して溶け、大量の水素が発生し、空気中の酸素が反応するなどして爆発したとみられる。現場には西ないし南西から風が吹いている。原発の半径20キロ以内には住民約500人が病院などに残っているとみられる。被ばくを避けるため、保安院は屋内退避を呼び掛けた。

 東電によると、爆発後の午前11時44分、第1原発正門で、1時間あたり20マイクロシーベルトの放射線量が計測された。枝野幸男官房長官は爆発後に記者会見し、「現地の(原発)所長と直接電話で話をしたが、(原子炉のある)格納容器は健全という認識で、放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低い。注水は継続され、圧力も一定の範囲内にある」と格納容器に異常はないとの認識を示した。

 保安院によると、原子炉格納容器の圧力は14日午前5時ごろ、365キロパスカルアブソルート(耐圧の単位)だったが、同6時50分に530まで高まった。地震後最高値で、設計上の最高圧力をわずかに超過した。保安院は「設計値には余裕があり、直ちに爆発の危険はない」と説明。その後、圧力も約500に下がったとしていた。一方で、建屋内の水素圧力も高まったため壁の一部を外す検討を始め、作業員を一時退避させていた。

 3号機の燃料は上部約2メートルが冷却水から露出し、燃料棒が溶ける「炉心溶融」が続いたとみられ、注水の方法に問題があったことが危機的な状況を招いたという。【山田大輔】

毎日新聞 2011年3月14日 東京夕刊

事件・事故・裁判 アーカイブ一覧

PR情報

スポンサーサイト検索

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画