法務省は9日、サイバー犯罪に対処するため今国会に提出する予定の刑法等改正案について、わいせつな画像データを不特定多数の人にメールで送信する行為を罰する規定を盛り込む方針を固め、民主党法務部門会議に骨子を提示した。罰則の内容などを詰め、3月にも改正案を閣議決定する。
現行法には、わいせつな迷惑メールを送りつける行為を直接罰する規定がなく、児童買春・ポルノ禁止法などを援用して摘発しているのが実情。このため、法務省は刑法に新たに処罰規定を設けることにした。罰則の内容については、2年以下の懲役、250万円以下の罰金とする案を軸に検討している。
改正案はサイバー犯罪を未然に防ぐため、コンピューターウイルスを作成、取得、保管しただけで犯罪と認定する規定の新設が柱。自公政権時代に2回、国会に提出されたが、併せて盛り込まれた「共謀罪」への反発が強く、廃案となった経緯がある。今回の法案からは共謀罪を削除するとともに、「ウイルス対策ソフトの開発目的でも処罰されかねない」との懸念に配慮し、ウイルス作成罪などの要件を厳格化する。
ただ、民主党内にウイルス作成段階で処罰することへの異論が残っていることに加え、2011年度予算案や予算関連法案の処理めぐる国会の混乱も予想され、今国会で刑法等改正案が成立するかは不透明だ。
[時事通信社]