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冷え込む採用意欲、需給の溝埋まらず/神奈川

2011年4月5日

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 「時代が変われば、専門技能を生かせる場もなくなっていく」。大手フィルムメーカーの技術職だった平井隆さん(60)=仮名=は実感させられた。

 2年前、金融危機で構造改革を進める会社の早期退職に応じた。妻と二人暮らし。子どもはいない。健康なうちに生活資金を蓄えようと、得意の化学系で再就職先を探したが「すぐ無理と分かった」。画像技術の主役の座はデジタルカメラへ移っている。

 現役時には工場の総務部門で建物の管理設備を触った経験もある。「ビル管理の仕事なら年配者の求人もあるのでは…」

 昨秋、県立東部総合職業技術校(横浜市鶴見区)の門をたたく。空調や給排水設備管理の技能を学び直した。都内のオフィスビル管理の仕事も紹介された。

 技術校は2008年、県東部の公共職能訓練校が統合して発足。開校当初はものづくりコースを修了した受講者に製造業から求人が集まったが、半年後に起きた金融危機で状況が一変した。製造業の求人が冷え込んだ半面、人口増や施設開発の進展を背景にビル管理の求人は底堅い。受講志願倍率も6~7倍に達している。

 2月の県内有効求人倍率は0・46倍(季節調整値)と低水準だが、ハローワークに毎月寄せられる新規求人では業種の差が鮮明になってきた。05年度には単月平均で5千人近かった製造業の求人は、10年度には2千人台前半。一方で医療・福祉業は最近、7千人を超えている。地元の産業構造が急速に変わる実情に労働力の調整が追い付かず、需給の溝が埋まらない。

 現実には、人手不足の福祉の現場にも適性はある。例えば女性の利用者は年配男性から入浴やトイレの世話を受けることに抵抗がある。むしろ施設運営を任せられるかどうかを採用の判断材料にしている県内のデイセンター運営会社は「当局からの新設審査基準が上がっており、介護をきちんと学ぶ人材が必要だ」

 県は雇用対策の軸に、国の特例交付金で設立した2種類の基金を財源にした事業を据える。福祉や環境などの成長分野への人材育成に充てるため、11年度分には民間から使い道のアイデアを公募した。

 だが東日本大震災で今後、企業の採用意欲が冷え込むことは避けられない。県内の労働基準監督署には「休業したい」との相談が急増している。「これからどれだけ求人が落ちるのかさえ想像がつかない」。ある職能訓練校幹部が頭を抱えた。


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