
テレビには、著名なスターやアイドルたちが、「一緒に頑張りましょう」「頑張れ!日本!」「僕たちがいる」と語っている。それは果たして被災者を励ますことになっているのだろうか?
1つの例
ある女性のお兄さんは言う。福島に住んでいて、すべてを失った。CMで頑張れ、頑張れと言われても、どうやって頑張れるのだろうか。家もあり、仕事もあるタレントたちが、向こうから呼び掛けても、こちらは家も無い。今ここで頑張ろうと思える拠点がないのだ。
目の前で何人も津波で流された。自分は誰も助けられず1人で逃げた。大きな後悔が残り、悪夢のような光景に悩まされる。自分の人生は終わったと思う。そんな時に、CMや避難所で、アイドルやタレントに「一緒だよ、一人じゃないよ」と言われても、所詮安全な世界から声をかけられているだけだ。何も言われない方がましだ。自分たちを幸せにしようなんて思ってほしくない。その分、不幸になってほしい。同じ目に遭った人に「頑張れよ」と言われたら頑張るし、歌を歌ってくれたら聞いてもいい。
良い励ましとは?
被災者の方それぞれの本当の気持ちを知るのは不可能だろう。1つの例として、インターネットの書き込みを示したが、簡単に「頑張れ」と言ってほしくないというのが趣旨だ。しかし、一方で、何でもいいから支援をしたいと熱望する人々も数多くいる。特に芸能人の方々は、人を動かせるという利点を最大限に生かせるため、積極的に動いている。そして、つい「頑張ってください」と言ってしまう。善意からには違いないが、この言葉を使う時には、もう少し慎重になった方がいいのかもしれない。
メンタルヘルス的にも、「頑張れ」という言葉は禁句だという見解もある。それよりは、「何かお役にたてることはありませんか?」と尋ねる姿勢の方がいいと専門家は語る。
ところで、被災者の方々の心に、ぴったり寄り添うことはできないが、忘れてはならないのは、世界各地からも支援の手が差し伸べられていることだ。その中には、アフリカやアジアの貧しい国々もある。1年分の生活費が日本人の1日分という所もあるだろう。自分たちの生活を差し置いてまで寄付をしているのだ。
激しく傷ついた被災地そして被災者の方々が、日本そして世界の人々の願いによって少しずつ癒され、各地から寄せられる物資と人的協力によって、少しでも復興するのを心から願う。
がんばれ、東北!がんばれ、日本!