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議員は復興マニフェストを作れ - 被災地は政治運動を
震災対策の補正予算の規模が小さい。わずか4兆円。しかも、成立は5月の連休後を目指すという報道になっていて、時期もどんどん後ろに遅れている。
内訳
が新聞記事に出ているが、(1)道路・港湾・下水道・農地などの公共事業に1兆3千億円、(2)仮設住宅の建設に3620億円、(3)被災者への災害援護金と生活福祉金の貸付で1380億円、(3)がれき撤去に3000億円、(4)学校・社会福祉施設の復旧に4000億円、(5)医療保険減免に1140億円、(6)被災者の雇用支援に510億円などとなっている。金額がちまちまとして実に小さい。政府が3/23に発表したところの、道路・港湾・住宅・生産設備等の直接的な被害額だけでも25兆円に上るのに、こんな予算で何の復旧・復興ができるのか。2次補正については何も見えていない。おそらく、2次補正も1次と同じで、財源問題で議論を長引かせ、挙げ句に官僚主導で僅かな規模に纏まるだろう。場合によっては、編成の前に政変が起きるだろう。この4兆円という規模がいかに小さいか、官僚の広報機関であるマスコミは何も言わず、マスコミが報道しなければ国民は気に留めないので、対照として比較材料を挙げよう。リーマンショックの後、2008年から2009年にかけて、麻生内閣は一体どれほどの緊急経済対策を打ったか。第1次補正が11.5兆円、第2次補正が27兆円、2009年度予算で37兆円、さらに補正予算で15.7兆円、4次にわたって総額で91兆円も支出している。わずか2年前の話である。
政権交代を阻止するための選挙対策の狙いもあったが、それでも半年間で91兆円の財政出動で景気対策を処している。わずか2年前だから、財政危機の事情は現在と同じだ。使い方が悪かったのか、首尾よく景気が回復することはなかったが、それでも、この規模の対策がなければ、日本経済の打撃と衰退はさらに大きかっただろう。リーマンショックと東日本大震災を比べて、どちらが国家の危機として大きな問題であり、どちらがヨリ大きな財政出動を喚起しなければいけない災難なのか。リーマンショックの発生は2008年の9/15だったが、麻生内閣は就任直後の10/16に、つまり1か月後に11.5兆円の第1次補正予算を成立させている。今回、わずか4兆円の補正ですら、その成立に震災発生から2か月をかけようとしているのだ。政治が全く機能していない。私は、こう書きながら途方に暮れ、いつも記事を書きながら手が止まる。手が止まって時間だけが過ぎる。このブログの読者の皆様は、こうした問題をよくご承知の方ばかりで、特に新しい視点や認識が提供されたとは思わないだろう。違和感や反論は特にあるまい。しかし、こうした指摘が国民の全般に届いて共通認識となり、現在の政府と報道の異常さに対して怒りの声が上がるには、一体どうすればよいのか。同じ財政危機の中で、麻生太郎はIMFを救うために日本人の税金を10兆円もくれてやった。
同じ日本政府が、東北の被災民を救うための予算を出し渋っている。野党が蒸発し、国会が蒸発したが、遂に政治そのものが蒸発している。この国の政治家たちは、単に「政治」という名のテレビのお笑い番組で騒動するタレントであり、そうでなければ名誉職であり、そうでなければ官僚の代理人だったが、その正体が震災という非常時の到来で剥き出しになった感がある。予算と政策を差配しているのは官僚と米国なのであって、政治家には何の権限もないのだ。官僚は、おそらく、この補正の成立に時間をかけさせる。自民党とマスコミを嗾けて、民主党のマニフェスト政策の撤回を煽り、子ども手当等を廃止することで財源を作る方向に世論と政治を誘導する。そして、それでは2次補正はとても無理だから、消費税増税だという結論へ落とし込むのだ。2次補正は6月の予定になっている。この日程は、当初、消費税とTPPを閣議決定するタイムラインだった。つまり官僚と与謝野馨は、6月の消費税を諦めておらず、2次補正に絡めてここで決める思惑なのだ。震災を増税の好機として利用するのである。本来、1次補正成立の足を引っ張っている自民党は、世論に叩かれていい存在なのだが、マスコミは菅政権叩きの方に世論を誘導し、自民党に支持率を与えてやっている。財源問題で自民党の方に正当性を持たせているのであり、要するに、官僚とマスコミが消費税増税のためにやっていることだ。
私は、前の記事の中で、東北の被災地から人口が流出し、被災地の産業と雇用が再建されず、人口が流出し、日本列島の東西にイタリアの南北問題が構造化される将来を懸念した。4兆円の補正予算の規模は、政府が東北の産業再生は責任を負わないという意思の表明であり、東北は見捨てるという宣言である。生き残った者は、各自が自己責任で働き場所を探せとメッセージしている。問題は、NHKが放送で示しているとおり、特に経済基盤が弱い第一次産業であり、三陸の水産業と仙南の農業である。この二つについては、政府が直接に大胆な再建策を講じないかぎり、その構想を打ち出して資本投下しないかぎり、間違いなく産業として消滅させられる。昨夜(4/11)のクローズアップ現代は、その事実をよく報道していた。水産業については漁港を浚渫し清掃しなければならず、農業については土壌を洗浄して復元しなくてはならない。生産手段である漁港と漁船と設備、そして農地を再生するところから始める必要がある。被災民に自力でやれと言っても無理で、自治体に交付金を配るからと言っても不可能だ。水産業に5兆円、農業に5兆円、最低でもそれだけの公共投資が要るだろうし、国の復興計画が示されなければ、稼いで食うために人が被災地から離れて行く。がれきの撤去も、3000億円では到底足りない。廃棄処分する場所や方法も含めて、国土交通省が計画を立て、3県と共同態勢でプロジェクトを立案すべき問題だと思われる。
こうした諸々については、クローズアップ現代が現地を取材して報道するとおりであり、何が要請されているかは明白なのだから、復興事業の計画は政治家(議員)が立てればよいのである。何をするか、幾らかかるか、誰がやるか、いつまでにするか、そのプログラムとロードマップを明記した復興マニフェストを起草すればよいのだ。素早く起草してネットに公開し、専門家から意見を受けてリバイスし、バージョンアップして行けばいい。その復興マニフェストに従って、国会で議論し、法案と予算案を協議成立させて行けばいい。国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関である。議員が、特に東北出身の議員が、超党派で共同してそれを作るのだ。官僚ではない。菅直人の仲間を集めた復興構想会議ではない。国会に震災復興委員会を作り、3県の水産業や農業や中小企業の関係者を呼んで意見を聞き、財源に関して経済学者と財政学者を呼んで議論させ、委員会で復興の補正予算を纏めればいい。官僚主導で組ませてはいけない。野村総研が4/8に示した試算によれば、震災後、東北3県の沿岸地域の雇用は大幅に減少し、震災前の77万3300人が1年後には4万4100人減少し、6年後には8万1500人まで拡大すると予測している。1割が減る。現在の政府の復興策のレベルでは、実際にこのとおりになるか、もっと悪い事態になるだろう。NHKの調査では、現状、避難所で生活する人々のうち、年金暮らしの高齢者を除いて7割が仕事を失い、生計の見通しがないと答えている。
金子勝は、今回の震災の復興は個人任せではなく協同組合で再建すべきだと言っている。この考え方に私も賛成だが、協同組合を作ると言っても、資本が投入されなければどうしようもない。よく考えてみれば、被災地域には漁協も農協もあるのである。再建を担う協同組合は最初からある。私なら、協同組合を傘下に置く復興公社を幾つか作る。官僚がポスト欲しさに作る復興庁ではなく、東北3県の被災地が復興を遂げたら解散する復興公社である。県が経営の主体で、農水省と国交省と経産省がサポートする。がれきの撤去、港湾の浚渫、農地の再生も公社がやる。その公社に被災地の人々を雇用する。社会主義的な「大きな政府」の原理の下で復興事業を方針化する。被災地の復興は自己責任ではできないし、市場原理の下でやらせれば、確実に人口流出が起きて地域が荒廃する。食うために都会の非正規労働に就こうとする。原発騒動で出国した中国人労働者の穴埋めとなる。三陸で廃れた水産業を別地域でカバーして市場を満たすのが新自由主義だし、宮城県で潰れた米作をカリフォルニア米の輸入で埋めるのが新自由主義だ。復興については、政策原理を根本から転換するしかなく、地域経済を治癒し保護する「大きな政府」の手法しかない。そうした発想と提案を被災地から発信する者はいないだろうか。クローズアップ現代を見ながら、そう思わずにいられなかった。三陸で漁業を続けたい。仙南で農業を続けたい。そういう志を持った若者がいる。しかし、それを実現するためには、政治を動かさないといけない。
政治を動かし、官僚の手から予算を奪い取り、この国の税金を被災地の農業と水産業の資本に回さなくてはいけない。そこまで意識が達しているのか。つまり、いま被災地側に必要なのは、まさに政治意思であり政治運動なのだ。政治への働きかけなのだ。被災地から政治のリーダーが出現しなくてはならず、国民を説得して政策を変える人間が出て来ないといけない。中選挙区制から小選挙区制に変えられ、二大政党制になり、地域は地域の要求を実現する政治の手だてを失った。経済的利害を政治を通じて実現することを悪と決めつけられ、その観念が刷り込まれ、バラマキという脅迫言語を信じ込んで自縄自縛となり、政治に何も口出ししないようにさせられた。見てのとおりだ。小沢一郎は岩手出身の議員である。安住淳と桜井充は宮城出身の議員だ。玄葉光一郎と渡部恒三は福島出身の議員だ。いずれも政権与党の幹部であり、玄葉光一郎に至っては政調会長だが、福島県の人々を救済する政策を何も実行していない。政治家が政策と無縁のところにいて、官僚が出してくる政策をマスコミに発表する事務屋をやっている。挙げ句に、第一次産業は不要だとされ、TPPで輸入するという将来になった。そして、政治は大資本のみと癒着し、政治は経済的利害と無縁と言いつつ、大資本のための政策をせっせと推進している。今回、痛切に思うことは、被災地が政治主体にならなくてはいけないということである。復興政策は、宮城と岩手の被災地の知識人がリードしなくてはいけない。クローズアップ現代に登場するどこかの専門家や菅直人の仲間に任せてはいけない。
そして反原発は、被曝した福島こそが運動の拠点とならなくてはいけない。広島や長崎と同じように。
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thessalonike5
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2011-04-12 23:30
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