神は俺を見放したのか・・・
《「ラニーニャ現象」のせいで、南米コロンビアとベネズエラが、大雨となっています。
この2週間前、コロンビアとベネズエラでは記録的な大雨が続いています。
相次いでいる豪雨や洪水の影響で、160万人が家を失うなど何らかの被害を受けており、政府は「コロンビア史上最悪の自然災害」と発表した・・・》
宿のロビーでニュースを見ているとコロンビア、ベネズエラの都市が水に浸かっている!
ネットを開いて見るととんでもない気象ニュースが・・
そんな影響をモロに受ける支流が大本命なのに・・
ラ・ニーニャ・・
そんな“女の子”現象で俺の行く手をはばむんじゃねえ!!
時期を遅らせ、“最後のモンスター”に焦点をしぼったのが悪かったのか・・
バルセロスに船で到着した時点で水位が高い。
支流最上流部までいけばなんとかなるかも・・
その最高のポイントに向かうには往復300リッターのガソリンを買わなければならない。
しかも、ネグロ上流部のガソリンの値段は日本よりも高い。
これは大きな賭けだ。出費がすごい。
釣り旅というのは常に選択の連続だ。
何も決められていない。すべて自分で決めるしかないのだ。
バルセロスの相棒J氏は
「今行ってももうだめだ、水位が毎日上がっている」と言う。
けど仕方ない、行こう。ダメなら帰るしかない。
もう、結果から言うと
無、無、無・・
雨、雨、雨・・
全部水没林・・
上流に行けば行くほど水は増え、状況は悪化していく。
アマゾンで流れを読むのは本当に難しい。
下流域の水位は低いのに上流部は水がたんまりとある。
日本の河川では考えられない“水が停滞する”という現象がおきるからだ。
これが曲者でその大河を現実に見れば結構なスピードで流れていて、とても“停滞”しているようには見えない。
小さな島国日本という国で生まれ育った人間にはことさら理解することが難しい現象である。
高低差の低い大きな大陸に世界の淡水何文の一というとんでもない水量が数千本の大支流となって東西南北いたる方向にながれており、
全アマゾンを制するというのはまず、この“水を読む”ということを覚えなければならない。
しかし、そんなものは教科書にも載っていないし、現代っ子特有のググればいっぱつ的な感じで調べてもまず出てはこないだろう。
ああ、話が脱線している、この話だけでも本の半分くらいは書けそうだし、あんまりタダで教えたくないのでまたの機会に。
話しを戻すと、トップの究極を目指して用意してきているのに魚の気配、波紋さえも立たない。
例年ならここは世界記録クラスが爆音を立てて捕食しまくっているのに・・
なんとか釣るが
俺が欲しいのはこんなサイズじゃない。
が、なんとか・・
実は今回、魂のルアーとの再会があったのだ。
そのルアーとは2008年におおはしさんに意向を詳細に説明して作製を依頼した巨大リップレスジャークベイト、亜楽。
2009年に魚に持ってかれた魂のルアーが、今年、何気なく立ち寄ったその河に棲む漁師の家の昭和初期製造かと思われるような古いテレビのアンテナに引っ掛けられていた。
奇跡的な再会だ。
「おおっ、亜楽っ〜!うれしいぞ〜!」
ただで持って行くわけにはいかないので、手持ちのルアー三個と引き換えに私の手に戻って来た。
透明の皮膜が細かい傷によってかなり濁っていたので
タックルボックスに忍ばせて現在自分なりに研究しているケイムラを塗装し、よみがえらせた。
フック、リングを交換してアベントゥーラ59にセットしてスイムチェックしてみると・・
動きが更に良くなっている。というか、更に鋭く動く。
完璧なタックルバランスだ。
ドグッ。という感じだった。

流石“魂のルアー”だ。
88cm。痩せ気味。

やっぱパワーある。
ピーコックバスフィシングでは釣獲数、種類数、サイズすべてにおいてプロアマ問わずジャパニーズのトップを走る私にとってこれは結構悲しい結果といいたいところだけど・・
実は一年以内にここに帰ってくることができ、久々に見る大きいアスーの迫力はなんとも口で表現するのは難しいが、やっぱりいい。
“世界最大のシクリッド”の名に恥じない魚だ。
このピーコックバスは世界最高峰のゲームフィシュに相応しい。アメリカ人も外の魚には目もくれないがこの魚になるともう目の色が違う。
そして私もそう思っている。
それはブラックバスと同じで何度も釣りに行きたくなる。という魔力。
他の牙魚などは誰も追いつけんレベルを釣ってしまうと次に行く気力が結構失せる傾向があるがピーコックバスは違う。
特にアスーは。
これからどう旅するか状況は最悪。東西南北八方ふさがりでどこに行ってもマズい。
一月にもう一度ネグロ河上がるかベネズエラ(多分ダメ)に行くかそれとも・・
毎日悩んでいます。
しかし、今日も雨・・
“女の子”のご機嫌が直るのはいつ?
ラ・ニーニャ!