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中古車需要が急増 在庫流失、業者も苦慮 宮城沿岸部
 | 店頭に並ぶ車の大半に「売約済み」の札が張られた中古車販売店=6日、石巻市南境の大場モーター |
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東日本大震災の大津波で多数の自動車が被災した宮城県で、中古車の需要が急増している。メーカーの生産停止で新車が少ない上、被災して購入費用に余裕がない事情もある。中古車販売店も被災で在庫不足が深刻化し、生活再建の一歩として車を求める沿岸部住民の願いをかなえきれていない。 「ようやく買えた」。自宅と車とカキ養殖施設を津波で流された石巻市の漁業阿部力さん(67)は市内の中古車販売店を回り、軽トラックを購入した。「避難所を退去するにも車がないと動けない。漁業の再起にも必要だ」と動機は切実だ。 宮城県の推計によると、県内で被災した車は約14万6000台で登録台数の約1割を占める。被災地の販売店は車を確保したい被災者の要望に応えようと懸命だ。 石巻市中浦1丁目の中古車販売店、阿部勝自動車工業には高さ3メートルの津波が押し寄せ、在庫250台が全て流された。3月末の営業再開後は「すぐ乗れる車が欲しい」と1日約20人が訪れていて、県外から中古車をかき集めても対応しきれないという。 津波被害がなかった同市南境の大場モーターでは、在庫50台が2日で完売した。大場昭宏社長は「入荷するとすぐに売れる。走れれば車種を問わない人も多い」と語る。 中古車人気の背景には新車の供給不足もある。メーカーの生産縮小で震災前の契約分の納車も遅れ気味だ。宮城トヨタ自動車(仙台市)は震災前に70台あった新車の在庫は10台を切り、「次の入荷見通しも未定」と話す。宮城日産(仙台市)も状況は同じという。 宮城県中古自動車販売商工組合は「需要の急増で東北の中古車の仕入れ相場も上がっている。新車販売が正常化するまでは中古車人気が続くだろう」と話している。(酒井原雄平)
2011年04月12日火曜日
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