東京電力、福島第一原子力発電所で相次いで起きている事故について、経済産業省の原子力安全・保安院は、広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、国際的な基準に基づく事故の評価を、これまでの「レベル5」から最悪の「レベル7」に引き上げることを発表しました。「レベル7」は、旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価ですが、福島第一原発事故の放射性物質の放出量は、チェルノブイリ事故の1割前後としています。
原子力安全・保安院と国の原子力安全委員会は、12日午前11時半前から合同で記者会見を行い、福島第一原発で相次いで起きている事故について、広い範囲で人の健康や環境に影響を及ぼす大量の放射性物質が放出されているとして、国際的な評価基準に基づく評価を、これまでの「レベル5」から最悪の「レベル7」に引き上げることを発表しました。「レベル7」は、25年前の1986年に旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故と同じ評価になります。記者会見によりますと、この事故で外部に放出された放射性物質の量は、放射性のヨウ素131とセシウム137を合わせて、原子力安全・保安院の試算では37京ベクレルに、原子力安全委員会の試算では63京ベクレルに当たると推定され、いずれも『レベル7』に相当するとしています。「京」という単位は「1兆」の「1万倍」です。そのうえで、福島第一原発事故の放射性物質の放出量は、現時点では、チェルノブイリ事故の1割前後だとしています。記者会見した原子力安全・保安院の西山英彦審議官は「チェルノブイリでは急性の大量被ばくで亡くなった人が29人いるが、福島第一原発の事故ではいない。また、チェルノブイリでは原子炉そのものが爆発して、大量の放射性物質が広範囲に拡散したが、福島第一原発では、漏れ出た水素が爆発したが、格納容器や原子炉は原型をとどめている」と説明しました。また、西山審議官は「レベル7は、現状についての評価で、住民の避難など特に何か行動に制約を与えたり、変更を迫ったりするものではない」と話しました。原子力施設で起きた事故は、原子力安全・保安院が国際的な評価基準のINES=国際原子力事象評価尺度に基づいて、事態の深刻さをレベル0から7までの8段階で評価することになっています。原子力安全・保安院は、福島第一原発の1号機から3号機について、先月18日、32年前にアメリカで起きたスリーマイル島原発での事故と同じ「レベル5」になると暫定的に評価していました。