経済産業省原子力安全・保安院は12日、東京電力福島第1原発事故の深刻度を国際評価尺度(INES)の暫定評価で、最悪の「レベル7」とすると発表した。
東日本大震災で原子炉や使用済み燃料プールの冷却機能が失われ、大量の放射性物質が外部に放出されるという国内では前例のない事態に陥ったことを重視。史上最悪の原子力事故とされる旧ソ連のチェルノブイリ原発事故もレベル7だが、今回の放射性物質の放出量はそれより少ないとみられ、保安院によると、福島第1原発事故による放射性物質の放出量はチェルノブイリの1割とみられる。
原子力安全委員会は、福島第1原発から最大で毎時1万テラベクレル(テラは1兆)の放射性物質が放出され、これが数時間続いたと試算。これまでの暫定評価は1〜3号機でレベル5だが、INESは外部への放出量が数万テラベクレル以上でレベル7と規定しており、保安院もこれに該当すると判断した。
安全委は放出量はすでに毎時1テラベクレル以下になったとみているが、原発の北西約60キロ、南南西約40キロで、3月12日から4月5日までの積算外部被ばく放射線量が年間限度の1ミリシーベルトを超えるとも試算。避難や屋内退避指示が出ている区域でも高い線量が示された。
事故発生から1カ月が過ぎても事態収束の見通しが付かない状態。放射性物質による土壌や河川、農作物、海の汚染も続く。政府は長期化を受けて従来の避難指示を見直すなど後手後手の対応が続いている。
(2011/04/12 11:47)
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