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きょう12日にプロ野球開幕を控え、大の阪神ファンの女優・岩下志麻(70)が本紙を通じて「ぜひ頂点を目指してほしい」と阪神タイガースに熱烈エールを送った。野球が元気の源、という志麻さんは「被災地の方は野球からパワーをもらって笑顔をとり戻せるように願っています」と東日本大震災の被災者にも思いを寄せた。
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2月24日、阪神の高知・安芸キャンプを訪れ、虎党であることをカミングアウトした志麻さん。携帯で写真を撮ったり、大好きな新井貴浩内野手(34)に「新井、がんばれえぇぇ!!」とゲキを飛ばすなど、大女優のイメージを180度変える!?行動に打って出た。その様子は翌日(2月25日付)の本紙も1面で報じたが、「あの時、初めて(阪神ファンであることを)公表したんですよ」とうふふ、と笑う。
スターの素顔に迫るNHKのドキュメンタリー番組の取材を兼ねて、初めて虎のキャンプを訪問。番組を見た人から「知らなかった」「実は私も阪神ファン」などと次々と電話がかかってきたという。
実はずっと巨人ファンだった。「王(貞治)さんと私、同期(岩下が1941年1月生まれ、王氏が1940年5月生まれ)でね。週刊誌で対談したり、撮影でご一緒することがよくあって、(巨人を)応援してたの」。転機は1999年の野村克也監督就任。「最下位だった阪神が、野村さんが采配を振るってどうなるのかな?と。チームの向上心とかコツコツとやってる一生懸命さにひかれて。ほかのチームも一生懸命やってるんですけどね。それからすっかり阪神のファンになって」
今ではCSで毎試合“観戦”。仕事の時は試合を録画し、仕事先では携帯電話の野球サイトをまめにチェック。阪神だけではなく、他球団の動向も気になるという。
「きょうのピッチャーはだれかとか、どのチームのだれが調子いいかとか、全球団の情報をチェックしていますよ。他球団を見ておかないと、今度阪神が対戦するときに、ね、大事ですから」
揺れに揺れたプロ野球開幕問題は、4月12日のセ・パ同時開幕で決着した。阪神・新井は労組プロ野球選手会会長として東奔西走した。「新井さんが頑張ってくださって。セパ足並みそろってホッとしています。セ・リーグだけ3月にやっちゃうというのが、私としては気持ち悪かったんで。野球界がひとつになって4月12日に開幕、4月はデーゲーム、節電、チャリティー(マッチ)…よかったと思います。野球ってのは、元気をもらえる。私なんか野球を見て、すごく元気がもらえるんです」。野球をやることでみんなに元気を与える‐志麻さんはそう信じている。
「マジメで照れ屋っぽいところが好き」と“告白”していた大好きな新井選手には「本当にね、選手会会長ですごく神経使ってらっしゃったから。(騒動の間は)ずっと無安打だったでしょ」と心配でしようがなかったという。
新井は3月30日、実戦では25打席ぶりのヒットを放った。
「重圧から解放されたんでしょうね。選手会会長として交渉の矢面に立って、本当に大変だったと思います。大変な仕事背負われて、ご苦労さま、ありがとう、という感じです。(その後に)1日、お休みとられたでしょ、和田コーチに強制的に(とらされて)。その次のゲーム(3月29日)で打たれたから、ああ、やっぱりお休みとってよかった、って」
2月の安芸キャンプ。「私ね、新井さんってすごいまじめそうな感じがしたので、安芸でお会いしたとき、『新井さんはまじめですか?』っておうかがいしたの。そしたら、しばらく間があって、『はい、そうです』って」。初対面のエピソードを少女のように照れながら明かすのであった。
右肩のケガからの再起を目指す金本知憲外野手(43)と左膝を手術した城島健司捕手(34)については「大丈夫?本当のところどうなんですか?」と逆取材。開幕スタメンの予定と伝えると「そうですか。心強い打者と捕手ですし、野球はみんなで頑張る競技ですから」と少し安心したようだ。
新井は「『野球がある国に生まれてよかった』と思ってもらえるよう、全力を尽くしたい」と誓った。被災地に元気を、笑顔を‐。2011年のシーズンは特別なものになる。
「今年は開幕してみないと分からない。真夏にデーゲームやるのは大変ですしね。環境の変化とかそういうのに打ち勝って、ね。(阪神は)いつも途中から失速しちゃうんですよね…」と虎党ならではの、心配性の発言が思わず口をつきそうになったが、「でも今年は失速しないで、ぜひぜひ優勝を、ぜひ、頂点を目指していただきたいですね」と熱烈エールを送った。「私は野球で元気をもらっています。被災地の方は野球によって、がんばる勇気を吸収できる、元気をもらえると思います。ぜひ、ね、パワーをもらって、笑顔を取り戻せるように」。
(デイリースポーツ提供)
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