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2011年4月12日(火)付

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統一地方選―敗北民主は後がない

民主党が統一地方選の前半戦で敗北した。12の知事選で推薦候補の当選はゼロ。菅直人首相のお膝元(ひざもと)の東京都事選に独自候補を立てられず、岡田克也幹事長の地元の三重県[記事全文]

統一地方選―大阪都構想より明確に

大阪府と政令指定都市の大阪、堺両市を再編して新たに「大阪都」をつくる。そんな構想を掲げて統一地方選挙に臨んだ地域政党「大阪維新の会」は、府議会で目標とした過半数を制した[記事全文]

統一地方選―敗北民主は後がない

 民主党が統一地方選の前半戦で敗北した。

 12の知事選で推薦候補の当選はゼロ。菅直人首相のお膝元(ひざもと)の東京都事選に独自候補を立てられず、岡田克也幹事長の地元の三重県知事選でも敗れた。

 41道府県議選も野党だった4年前の議席を確保するのがやっと。昨年の参院選に続いて、政権党としての面目を大いに失う結果になった。

 政権は東日本大震災後の対応に大わらわだった。選挙運動が自粛ムードに覆われたことも確かだろう。

 地域ごとに争点、政策課題が違う地方選の勝敗を、直ちに政権の存亡や首相の出処進退に結びつけるべきでもない。

 しかし、この結果が、首相の仕事ぶりに対する有権者の極めて厳しい評価を反映していることは間違いない。原発事故への頼りない対応への批判や不安も、当然あろう。

 危機克服に一刻の猶予もならない時だからという理由だけで、辛うじて政権の継続が黙認されている。もはやそこまで追い詰められていると、首相と民主党は自覚するべきである。

 危機対応の陣容を立て直し、野党への姿勢も改める。ここで大胆な変わり身を見せられなければ、菅政権は後がないと覚悟しなければならない。

 敗者は民主党だが、では勝者は誰なのか。

 自民党は五つの知事選と静岡、広島両市長選で推薦候補が勝った。しかし、道府県議選では前回議席を下回り、党勢を回復させたとは言い難い。

 「民主党よりはまし」な結果だから、政権批判を強めたくなるのもわからなくはない。

 しかし、この時期に党利を求め、政争を仕掛けても、国民の理解が得られるだろうか。

 非常時はなお続く。復興に向けた取り組みをはじめ、与野党が協働して決めていくべき課題は数知れない。

 責任野党として建設的な役割を果たす。いま自民党に期待される振る舞いは、地方選前と変わらない。

 既成政党の低調さと対照的に元気だったのが首長新党だ。

 橋下徹大阪府知事の「大阪維新の会」と、河村たかし名古屋市長の「減税日本」は議席を増やし、存在感を高めた。明快な現状変革のメッセージとして支持を広げたようだ。

 首長が仲間の議員で議会を制する手法は、「首長VS.議会」の激突の構図を解く策として注目された。けれど、その是非をめぐる議論が震災の陰で深まらなかったのは残念だった。

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統一地方選―大阪都構想より明確に

 大阪府と政令指定都市の大阪、堺両市を再編して新たに「大阪都」をつくる。

 そんな構想を掲げて統一地方選挙に臨んだ地域政党「大阪維新の会」は、府議会で目標とした過半数を制した。両市議会では過半数に届かなかったものの第1党へと躍進した。

 維新の会は、代表を務める橋下徹知事の人気を頼りに無党派層に的をしぼった選挙戦を展開した。東日本大震災後の自粛ムードのなか、関心が高まらず苦戦が予想された。

 ところが、ふたを開けてみると、投票率はそう高くないのに議席数を大きく伸ばした。

 既成政党への批判票が集まったことは間違いない。さらに「沈滞した大阪を何とかしてほしい」という府民の危機感が支持につながったとみられる。

 二重行政と呼ばれるムダを排して、指揮官をひとりにする。両市を特別区に分割し、区長公選制を導入する。広域行政は大阪都、生活基盤の整備は特別区と市町村が担う。

 そんな都構想のおおまかな方向性は府民から支持されたといえるだろう。

 しかし、区割りや財源、権限などの具体的な中身は示されておらず、住民にとっての利点と不利益はわかりにくい。都構想で大阪の経済を再生できるという道筋もはっきりしない。

 橋下知事は大阪市議選を「敗北」と認め、「都構想もいったん白紙」と述べた。今後、関係者や他会派と丁寧に話し合いを進める意思だと思いたい。

 一方で、早くも市議会での協議相手に公明の名を挙げ、11月に予定される大阪市長選に維新の会から候補者を擁立する考えを示した。

 都構想は大阪府が大阪市をのみ込む考え方だ。一方、平松邦夫市長は政令指定都市の権限などを府県並みにすると主張してきたが、都構想についての議論はかみ合っていない。

 二重行政を解消するには、どんな制度がいいのか。府と市の主張のどちらが住民のために良いのか。第3の道はあるのか。

 大震災では東京一極集中のもろさがかいま見られた。分散社会をめざすには、関西をどうすれば元気にできるかといった視点も欠かせない。

 知事は住民の疑問にひとつひとつ答え、構想を肉づけすることが求められる。市長は議論に正面から応じた方がいい。

 地域に合った自治のかたちを徹底的に議論し、ともにつくり上げていく。そうした取り組みこそが、地域主権の時代にふさわしい。

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