松田雅央の時事日想:放射性物質はどのように拡散するのか――情報開示に消極的な気象庁 (1/3)
福島第1原発から大気中に放出された放射性物質は大気中をどのように拡散していくのか。放射性物質の拡散を予測した気象データがあるが、このことを知っている人は少ない。なぜなら日本の気象庁が予測データを積極的に開示しないからだ。
著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)
ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ」
福島第1原発から大気中に放出された放射性物質は大気中をどのように拡散していくのか――。放射性物質の拡散を予測した気象データ「放射性物質拡散シュミレーション」があるのを知っている人は少ないだろう。
ドイツ気象局やオーストリア気象・地質局が原発事故直後から最新のシュミレーションを公表し続けているのに対し、日本の気象庁(以後、気象庁)が同様のデータを公開したのは4月4日になってから。それも政府から指摘を受け、重い腰を上げた(参照リンク)。さらに、一般公開を前提としていないから情報の分かりにくさにも問題がある。
私たちはこの放射性物質拡散シュミレーションをどうとらえればいいのだろうか。この点について、ドイツ気象局のキルシェ広報課長に電話で話をうかがった。
Webサイトのスタートページで公表
松田:お忙しいところ、お時間を取っていただきありがとうございます。
課長:このところ日本から多くの問い合わせをいただいています。
松田:ドイツ気象局ではWebサイトのスタートページに福島第1原発の放射性物質拡散シュミレーション(以後、シュミレーション)を掲載しています。世界的な重要事項であることは確かですが、それでもドイツにとっては他国の事故。あえてスタートページで公表している理由は?
課長:現在はスタートページですが来週(4月10日)からは、下のほうに移す予定にしています。
公表した理由はドイツ人も大きな関心を持っているからです。「ドイツにも放射性物質が飛んでくるのか知りたい」「日本に家族や知人がいる」「ドイツの会社が日本で事務所を運営している」といった理由が多いですね。また、ドイツだけでなく他の欧州諸国でも関心が高いため英語版も配信しています。
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