「九州だけじゃなく日本が一つになった気がします!」「胸が熱くなる」「なんか泣ける…日本はきっと大丈夫」「九州から東北への応援歌!」「元気づけられた!」-。東日本大震災の被災者に配慮し、テレビ放映が中止された九州新幹線の180秒の長編CMがいま、インターネット上で反響を呼んでいる。九州各地の人々が一つになり笑顔で手を振る姿が、大震災の被災者を案じ、一日も早い復興を願う全国の多くの人の心情と重なったようだ。
CMが見られるJR九州のホームページやツイッターには、感動を伝える言葉があふれ、「こんな時だからこそ」と全国放映を求める声も相次いでいる。
CMは鹿児島中央駅を出発し、熊本から博多へと向かう新幹線「さくら」の車窓から、沿線の町の人々を写したもの。駅のホームや田んぼ、自宅のベランダ、ビルの屋上、川に浮かべたボートの上、学校のグラウンド、ビニールハウスの上などで、思い思いの格好をした人々がウエーブやダンス、ジャンプをしながら、開通を祝い手を振る様子を撮った。JR九州がCM撮影を事前に告知し、2月の撮影には約1万人が参加した。
笑顔があふれる映像に軽快な音楽が流れ、「あの日、手を振ってくれてありがとう。笑ってくれてありがとう。一つになってくれてありがとう」「一つになった九州に新しい力が生まれています」というナレーションがかぶさる。
震災発生前に、熊本と鹿児島で1度ずつ放映したが、震災発生に伴い、開通祝賀行事の全面中止と同時に12日以降の放映を自粛。ところがネットでCMを見た人の感想が口コミで広がり、動画サイトにも投稿され、再生回数は50万回を突破。多くの人が感想を寄せている。中には「被災にあった知人も『元気が貰(もら)えた!』と言っています」というコメントもあった。
JR九州のツイッターから、CMに寄せられた気持ちを代表するようなコメントを紹介したい。
〈「さくら」よ、今こそ運んでおくれ。「春」を東へ、そして北へ〉
=2011/03/27付 西日本新聞朝刊=