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 新社会党
2011年3月15日

  アイヌモシリ(人間の住む静かな大地)と北方領土(中)
    旧「土人保護法」と民族同化・抹殺
                  
            北海道  吉井 健一


 北海道は、江戸時代中期までアイヌモシリ(人間の住む静かな大地)として、狩猟や漁労を正業としてアイヌの人々が自然とともに生きていた。しかし、和人の侵入により豊かな大地、河川、海を剥奪され、虐殺・強制移動・強制労働を強いられた。

 現在は、先住権を否定し、民族を全面否定する映画として上映されないが、子どもの頃、ジョン・ウェイン主演の西部劇を楽しんだ記憶がある。「話は、そもそもテーネッシー、西へ西へとアメリカが開けてゆく頃その昔デービー、デービクロケット…」などの歌も流行した。

 この西部劇と同様に、アイヌモシリは北海道とされ、明治政府の制定した旧「土人保護法」は、森林、石炭、漁業などの資源を剥奪し、正業として狩猟や漁労を禁止し、保護の名目でやせた土地を与えて漁業を強制した。

 漁業では生活が成り立たないために、日雇い人夫や漁労に従事するしかない悲惨な生活を余儀なくされた。この皇民化政策は、アイヌ語を禁止し、皇民にふさわしい日本名を強制し、民族同化・抹殺を行った。

 この皇民化政策の成功に自信を得て、朝鮮においては創氏改名、皇居遥拝、朝鮮語の禁止などの政策を強制することになる。

 人道的にも許せないことは、北海道大学医学部が北海道各地や樺太、千島において「人類学研究」と称してアイヌの墳墓を暴き、その人骨(964体)と副葬品を盗掘していたことである。

 アイヌの抵抗を抑えるために、警察官を同道して行われた発掘(盗掘)は、戦後においても続き、高校生らにも手伝わせていた。

 盗掘された人骨は、東京大学、京都大学、大阪大学にも存在する。アイヌモシリは、北海道、樺太(サハリン)、歯舞諸島、色丹島、千島(クリル諸島=国後島、択捉島を含む)全体をいう。

 アイヌの人々は、北方民族であるウィルタ族(樺太中部以北)やニブヒ(樺太中部)とも仲良く自由に生活し、交易していた。樺太アイヌは、日本と中国を結んで「山丹交易」で繁栄していた。

 日高のアイヌの人々の話では、祖父などが冬に凍結した海上を千島に渡って狩猟を行っていたと伝えられている。このようなアイヌ民族の生活と歴史を考慮するならば、北方領土を国後島、択捉島、歯舞諸島、色丹島と限定することは誤りである。



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