【コラム】アサヒスーパードライが韓国で半額になったら(下)

 日本の産業の力は、このように言葉では表現できない要素によるところが大きい。日本車に3年乗っている知人に「韓国車よりどんな点で優れているか」と尋ねたところ、返ってきた答えは「長い間乗っていれば分かる」というものだった。あいまいな答えだが、強い確信を持っているように感じられた。テレビの完成品から二次電池(充電式電池)に至るまで、韓国の産業が日本に追い付き、追い越す過程は、海のように深い日本の暗黙知を一つ一つ理解していく課程だったのかもしれない。世界の経済専門家たちが日本の将来について楽観視しているのも、大地震や津波で未曽有の被害を受けたにもかかわらず、人間や組織の暗黙知は死ななかったという理由なのかもしれない。

 韓国が経済のあらゆる分野で日本にとって最大のライバルとして認められたのは、ここ3年ほどのことだ。これは、1ドル=120円の為替レートが70円台に跳ね上がるという「超円高」時代の到来と重なる。この時期、日本経済は苦戦を強いられ、日本企業が行ってきた血のにじむような合理化の努力も実を結ぶことはなかった。現場の暗黙知を総動員し、強い体制づくりを目指してきた日本企業は今、世界市場で十分に競争できる為替レートの水準を「1ドル=85-90円」程度に設定している。

 東日本大震災をきっかけに、世界の為替市場で円安が進行している。一方、韓国はウォン高が進行中だ。しかし、大震災による混乱を収拾し、為替レートというベールを脱いだ瞬間、強くなった日本企業はモンスターのように韓国の前に立ちはだかることだろう。為替レートが3年前の水準に戻っても、韓国は日本のライバルとして接してもらえるだろうか。この問いは、アサヒスーパードライの価格が現在の半分になっても、韓国のビールがライバルになり得るか、という問いにも通じる。今は韓国の実力や適正なレートについての冷静な分析が必要な時期だ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)記者(WeeklyBiz部長)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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