記事入力 : 2011/04/10 12:01:55
【コラム】アサヒスーパードライが韓国で半額になったら(上)
「日本のビールはおいしい」という評価は韓国で特に根強い。これは「韓国のビールはまずい」という評価の裏返しとなっている。昨年、アサヒビールの荻田伍会長にインタビューした際、こうした評価について尋ねた。これに対し荻田会長は「原材料や製造設備には差はないと思う」と答えた。韓国ではよく「日本のビールがおいしいのは、麦芽の含有量が多いためだ」といわれているが、実際のところ、スーパードライは麦芽の含有量を減らすことによって大ヒットした商品だ。麦芽100%をうたい、半値で販売される韓国製ビールを横目に、年間2400万本も売れるのだから、麦芽のせいでないことは明らかだ。
荻田会長は「ビールは酵母、麦芽、熟成、温度管理、ホップの投入といったさまざまな技術的要素が組み合わさってできた製品だ。製造工程における技術面でのちょっとした違いが、微妙な味の差を生んでいるのかもしれない」と語った。だが、荻田会長も味の違いがどのようなものなのかを指摘することはできなかった。これは、経済学者の野中郁次郎・一橋大名誉教授の言葉を借りれば「暗黙知(言葉で表現するのが難しい主観・直観的な現場の知識)」といえるだろう。2008年にインタビューを行った際、野中教授は「暗黙知」が日本の産業にとって最大の強みだ、と指摘した。韓国のビールは、原材料や製造設備という面で、日本の「形式知(文章や図表・数式などによって説明・表現できる知識)」を受け入れることはできたが、暗黙知はまだ理解できていないというわけだ。その違いはたとえ小さな違いでも、2倍の価格にもかかわらず売れる商品を作ったという結果を考えれば、決して侮れないものだ。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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