第57回

原子力安全委員会速記録

原子力安全調査室

(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)

第57回原子力安全委員会臨時会議

日 時 平成11年9月30日(木)午後2時〜

場 所 委員会会議室

議 題(1)安全審査指針類における計量単位の取扱いについて

(2)「原子力施設の耐震安全性に関する調査」について

(諸外国等における耐震基準類の調査結果について)

(3)その他

配付資料(1)安全審査指針類における計量単位の取扱いについて(案)

(2-1)「原子力施設の耐震安全性に関する調査」について

(諸外国等における耐震基準類の調査結果について)

(2-2)原子力施設の耐震安全性に関する調査 成果報告書

午後 2時00分開会

○佐藤委員長 それでは、ただいまから第57回の原子力安全委員会臨時会議を開催いたします。

本日も青木委員が海外出張中でございまして、ご欠席でございます。

まず最初に、ほんの数時間前のことでございますが、東海村にありますジェー・シー・オーという会社の施設で事故が発生したという報告が入っております。

これにつきまして、現在までに判明しているということで、状況等を科学技術庁原子力安全局原子力安全課の古西課長補佐からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○説明者(古西課長補佐) 古西でございます。ご説明させていただきます。

今の状況は委員長からお話しございましたように、一報に接しているところでございますので、必ずしも十分なご説明ができるとは考えておりませんが、逆に我々が今後やるべきことをいろいろご指導賜ればというふうに思っております。

ジェー・シー・オー東海事業所でございますが、ここの転換試験塔で、本日10時35分ごろでございますが、エリアモニターが吹鳴するとともに、3名の方が被ばくをして救急車にて水戸国立病院に運ばれたということでございまして、詳細については現在調査中でございます。

なお、これらの方については、国立水戸病院から放射線医学総合研究所の方に移送する手続を今とっている最中でございます。

原因については調査中でございまして、どういう形で被ばくをしたのか、いろいろ、逆に報道関係の方が周りにいらっしゃいますが、臨界事故が起こったのではないかとか、いろいろなことを言われていますが、その点、全く今確認できている状況ではございません。

影響でございますが、敷地境界、南西側が一番高い数字が出てございますが、0. 84ミリシーベルト/アワーという空間線量率を確認しております。したがいまして、かなり高い線量でございますので、これについては何らかの形の屋内退避なり措置が必要であろうというふうに考えておりまして、それらについてどういう措置をとるか、今行政部局として検討しているところでございます。

ちなみに、事業者の措置といたしましては、とりあえずの措置といたしまして200メーターというエリアにおいて退避行動をとっているということでございます。

当方の対応でございますが、現地に職員を派遣し、当局としては安全局次長の伊勢呂が現地に今向かっているところでございまして、そのほか原研の方からも緊急のモニタリングチームが派遣されるという形でご協力をいただく形で、今現地に対して職員等と申し上げるべきだと思いますが、派遣し現状の把握に努めているところでございます。とりあえず速報でございますが、今このような状況でございます。

○佐藤委員長 ありがとうございました。何しろ発生からほんの数時間でございますので、まだ規制当局においても入手している情報は極めて限られたものだとは思いますが、何かご質問等ございますでしょうか。

○金川委員 まだ原因についてははっきりと確定はされていないということですが、線量が非常に高いということ、それから被ばく者が救急で運ばれた、この事実をとってみますと、やはり臨界の可能性がかなり高いと考えざるを得ないという気がいたします。そうしますと、一応臨界を仮定した対応というのが必要ではないか。

臨界というのは、どのような施設に起こりましても、ある規模の事故になってしまうわけです。少なくとも10の16乗から大きければ10の18乗、それぐらいのいわゆる核分裂が起こったという状況があり得るわけですから、これはまだもちろん確定はされていないにしろ、そういうことを想定した対応がされる必要が十分にあるというふうに考えます。

そういう意味でいきますと、やはりまずは周辺の被ばくに対してしなければならない措置、これについてはその必要の有無も含めまして、それについて早急な判断をしていただきたいということです。それがまず。

○住田委員 多少個人的な判断が入りますけれども、私、臨界集合体をやっていたので専門が一番近いところですから、それで長年仕事していた関係からいきますと、諸般の情勢、これは非常に残念で、私、感無量なんですけれども、日本で最初の臨界事故を起こしたのではないかと、ほぼ断定に近い受けとめ方をせざるを得ないと思います、これだけの情報が集まりますとね。非常に残念だと思います。

それからもう1つは、これまでの過去のこういう事故の海外の例に、今回の内容については詳しいことはわかりませんからあれですけれども、この種の燃料処理関係の仕事でやっている場合というのは原子炉と違いまして、同じ種類の臨界事故でもかなり作業員が放射線源に近いところで作業してございますので、大変これも言いにくいことなんですけれども、相当大きな被ばくを受けている可能性がある。

そういう意味では、国立水戸病院から放医研へ輸送するということをおっしゃられたというのは、大変僕は適切だと思いまして、これは今いらっしゃいませんけれども、かねがね我々の仲間である青木先生が、その点非常に憂慮されていて、その場合の救急体制を心配していたので、それについてはいろいろ既に先生、最初の現地の、たまたま国立病院なんかとも相談されていたはずですから、その辺は万遺漏ないと私は思うんですけれども、ぜひ適当な方法で、早くそういう専門のところで、一番の専門のところへ患者を移して対応していただきたいですね。

それからもう1つは、この建物の、今先ほどのお話でもはっきり確認できないことなんですけれども、今金川先生がおっしゃったように、かなり数の核分裂があったということと同時に、その起こり方によっては建屋にはほとんど被害が出ないこともありますね、建物は全然大丈夫でガラスも割れなかったというような、こういう臨界事故というのは結構海外に多いものですから、ひょっとしたら建屋の隔壁といいますか、エンクロージャーが破られていない可能性も十分あると思うんですが、やはりそれは一番破られた場合のことを考えて、早急に対応していただきたい。

この前も、東海の核燃料サイクルの事故のときも、エンクロージャーが建物が破られたにもかかわらず数日間そのままほってあったというのは、非常に我々としては憂慮して、そのときにやいやい言ったことでして、今回の場合はひょっとしたらうまくいくと、運がいいと何もなっていないかもしれませんけれども、とにかく今やれることは、被害を外部に広げないという意味では、その隔壁を早く確認して、もしどこかでほころびているんだったら早く潰していただきたいという感じがいたしますね。

なお、これは後細かい情報、いろいろ入ってくると思いますので、原子力安全委員会の立場で言いますと、私どもとしても初めての経験にならざるを得ないと思いますので、緊急体制をしいて我々としては対応しなきゃいけないんじゃないかと、私は思います。まだ委員会の中で意見の交換をしておりませんので、今のはあくまで私の個人的な、専門家としての判断ですけれども、逆にそれだけの責任を持って、私の立場ではそう言わざるを得ない。非常に残念ですということを繰り返して申し上げます。本当に申しわけないという感じです。

○松原委員 まず、周りに住んでいらっしゃる方々のこと、それから被ばくした方のことを考える立場からちょっとお話を聞かせていただきますと、まず環境の放射線量の値が一時的にしろ、非常に高かったということですね。それでそれを時間的にきちっとフォローしているようなデータが、私どもの方に時々刻々と来ておりますので、ぜひこれをきちっと、そのデータをよく調べて、周辺の影響をきちっと見たいと思います。もちろん、一時的に高くても、全体トータルすればすぐ人々が動揺するような線量ではないとは思いますけれども、やはり平常時の少なくとも桁が10の3乗、一時的にですよ、倍以上上がったような感じがいたしますので、周辺にどういう施設があってどういう人がいるかというふうな情報を、たしか学校や幼稚園で窓を閉めろというようなお話も聞いておりますけれども、その辺の状況もひとつ教えていただきたいと思います。

それから、被ばくされた方は、とりあえずは本当に、その方自身が多少はいろいろな情報をお持ちですから、今後いろいろなことをおっしゃっていただけると思うんですけれども、やはり医療関係者がすぐそこの水戸病院とそれから放医研に運ばれたということで、逐次専門家は見ていると思うので、例えばある症状が起こった時点とかその質を考えれば、どの程度重篤かというようなことは専門家ではわかるはずですから、ぜひそれにふさわしい対応をしていただきたいと思います。どんな物質を吸引したか、あるいはそれを排せつさせるにはどうしたらいいか、また患者のストレスを少しでも早く除くにはどのようにしたらいいか、かなり情報を結集して、適切な措置をしていただきたいと思います。

○佐藤委員長 これ、現在規制当局も鋭意調査に当たられるでしょうし、また今もちょっとご意見ありましたように、まだ事故の原因その他に確証はないとはいうものの、これから応急の措置等を講じていくときには、最悪のとまではいかないにしても、悪い方の推定が当たったとしても大丈夫なような対応ぶりをひとつ心がけていただきたいというふうに思います。逐次規制当局の方にも情報が集まってくると思いますので、それらの情報を我が方にも随時ご通報いただいて、我々の方も、我々にとって必要だと思われるような対応を図って参りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○住田委員 一つだけちょっと繰り返しておきたいんですけれども、いろんな情報から判断して、現在の事故の起こり方から考えますと、恐らくもう一度、再臨界というような事故が発生する可能性は非常に低い、まずないと言っていいだろうと思いますので、その点の心配はないと思います。

例えば、作業員がそばへ寄れないというような、そういうことはまずないと思いますけれども、それはやっぱり現場作業ですから十分に注意してやってほしいんですけれども、不用意に近づくというのはちょっとまずいんですけれども、まず普通の意味では、その周辺住民の方を驚かすようなことにはならないだろうということは申し上げられる。ただし、作業をする場合は十分に注意していただきたい。

以上です。

○佐藤委員長 ほかに何かまたご意見。

○松原委員 従事した方はそれを監督する立場にある人がそばにいたんでしょうかね。その辺は。

○佐藤委員長 その辺はまだちょっとわかりませんね。

○松原委員 まだわからないんですね。もちろん一番心配なのは臨界ということですけれども、同時にいろいろな打撲とか、そのほかあるかもしれませんけれども、周辺情報もぜひお知らせいただきたいと思います。

○佐藤委員長 そうですね。よろしゅうございますか。

ちょっと心配されます臨界事故なんていうのは、これは通常、常識的な心がけをやっておけばまず起こるはずのないことなので、なぜこういうことになったのかということも含めて、十分なひとつご調査をいただきたいと思います。

安全委員会の方も、これから入って参ります情報を踏まえまして、適時に必要な対応をして参りたいと思いますので。

○金川委員 ルール違反のない限り、臨界というのは絶対起きない。これはもう間違いないことですから。ですから何らかの意味で、そういう逸脱があったことは間違いないですね。

○佐藤委員長 これはまず間違いないでしょうね。

○金川委員 これについては厳しく、かなり厳しくですね。

○住田委員 非常に初歩的なルール違反をやらないと、こういうことにはならないですね。ですから、余りにも自明であり過ぎて、そのことを繰り返し繰り返し多分事業者が作業員に注意していることよりも、もっと非常識的な違反をやらないと、こういうことにはならないですから、ちょっと信じがたいんですけれども、しかしやっぱりさっき言いましたように、諸般の情勢を全部総合するとこれはもう臨界事故だと言わざるを得ないですね。

○佐藤委員長 その可能性は極めて高い。もちろん、その他の可能性も十分頭に入れて対応していただきたい。思い込みで対応するのは余り適当ではありませんので、さまざまな可能性をひとつ頭に入れて、適切に対応していただきたい。

○説明者(古西課長補佐) ご指摘いただきましたことを念頭に置きまして作業をさせていただきます。今後ともまた指導いただきたいと思います。

○佐藤委員長 よろしくお願いします。本件、もう少し私どもの情報も必要としますが、安全委員会、何がしかの時間、言うなればアラートの状態で待機したいと思いますので、よろしくお願いします。

それでは、本件につきましては追加の情報を待つということにいたしまして、次の議題でございます。

次の議題は、安全審査指針類における計量単位の取扱いについてであります。本件に関しまして事務局からご説明をお願いいたします。

○説明者(仲嶺首席)> それでは、事務局の方から、お手元の資料第1号に基づきましてご説明をさせていただきます。

本件につきましては、計量法、これは平成4年に全面改定をされたわけでございますが、計量法におきます法定計量単位、これを国際単位系、SI単位というふうに呼んでございます。それ以外の単位を用いているもの、これにつきましては平成11年10月1日から、計量法におきましてSI単位系に全面移行するということがございます関係上、それ以外の単位につきましては法定に定まっております計量単位に読みかえるものとするというためのものでございます。

現在、原子力安全委員会の審査指針類がございますが、その審査指針類を1枚めくっていただきまして、「対象となります指針類」、ここにSI単位系以外の単位を用いられている、SI単位系に置きかえることが可能なものが用いられているという意味でございますが、それにつきましては、18に上ります関係する指針類がございます。そこに記載されている指針上の単位、これは表にまとめてございまして、お手元の資料の表がございますが、指針単位上の単位といたしまして、圧力であればkg/m2 、熱量であればcal、エネルギーあればergというふうなもの、これをそれぞれSI単位系でありますPa、J等に改めるというものであります。

なお、長さ、質量等、in、ft等書いてございますが、これはヤード・ポンド法に基づきます記述がある関係上、このようになってございます。これらにつきましては、それぞれメートル法またはSI単位系に直しまして、それぞれにm、kg、J等を使おうというものであります。

この2つの単位の間には、ある換算係数を用いて整合を図ることが可能であるということになりますので、この2つの単位につきましては、やはりお手元の表にございます換算関係の数を示してございますが、これらを用いて読みかえることとしたいというものであります。

また、この際有効数字を加味いたしますと、数字の丸め方によりましては非安全側になる可能性、または過度の規制をかけてしまうというおそれもございますので、当分の間は一律に変換係数を用いて、単純に値を変換するというものとしている案でございます。

今後、安全委員会及び原子力安全委員会の専門部会等が指針類を改定または策定する場合におきましては、原則として新たに定められました法定計量単位SI単位による表記を用いることとしたいというものであります。

ご参考までに、どのような計量単位、扱いというのを参考でつけてございます。

本件に関しましては以上でございます。

○佐藤委員長 ご説明は以上ですね。

○説明者(仲嶺首席)> なお、これでお決めいただけますと、通知といたしまして当安全委員会の各審査会、燃安審、炉安審の審査会、それから各専門部会、並びに関係省庁に本件を通知したいというふうに思ってございます。

○佐藤委員長 わかりました。何かご質問、ご意見等ございますでしょうか。

○松原委員 一応、方式としてこの表に書いてある数字を使ってごく自動的に、事務的に数値を置きかえるということは結構だと思うんですけれども、そのあと採用する数値が、初めの指針に出ている有効数字と、それにこれだけのけた数の数字掛けますと、当然出てくる数字が広がりますよね。そこのところの有効数字は、前の指針と同じということなんでしょうか。

○佐藤委員長 原則は有効数字のけた数は維持すべきだと、原則はそうだと思います。

さっきちょっと事務局の方から説明がありましたように、それだと今度は、逆に極めてクリティカルな数字が不安全側に丸められちゃうというようなこともあり得るんですが、全部が全部そうだとは思いません。ですから原則は有効数字のけた数は維持するというのが、これは常識的な取り扱いではないかとは思いますが、その件の最終的な取り扱いは、これも事務局の方からありましたように、基準部会等で指針の中身をよく見て適切な数値を選んでいただくということになろうかと思います。

とりあえずはそういう方向で、とにかく読みかえますということかと思いますね。これは読みかえるとしばらく数字がぴんとこなくて困ることがあるんです。私はシーベルトは今でもぴんとこないことがあって一々100倍にしてレムに置きかえて、うんそうかというようなことになりますが。ですから、例えばヤード・ポンド法でもこれをkgに直すのにこれだと9けたですか、これもろに9けた掛けられますと大変なことになりますので、その辺はなるべく従前の有効数字にというのを守るという感じかと思いますが。

○金川委員 逆に言いますと、もともと指針で使っている数字というのは、例えば1キュリーというのを昔使っていた。それを普通は3. 7の10の何乗と。その1キュリーは本当に1じゃなきゃいけないかというと必ずしもそうじゃないんですね。ただ3. 7を4にして、あるいは3にしてどれだけ実害があるかというと、本当はないんですね。

ですから、そういう視点に戻りまして、そこまで戻って、有効数字の、いわゆる本当の意味の指針で決めたときの考え方あるいは基本理念を崩すようなものであっては困るんだけれども、そうではなかったら、1けたは1けたで変えても構わないんですよ、本当はね。それを崩さない限りね。

ですから、もともとラウンドナンバーにしていたというのは、ラウンドナンバーが1. 000ではないんですね。1. 5でも0. 8でもいいや、1にしようというような普通の指針の決め方なんですよ。乱暴な言い方ですけれども。ですからそういうところまで踏み込んで、徹底的に僕は変な数字を取っちゃった方がいいと思うんです。

でもみんな、今の委員長の話じゃないけれども、いわゆるベクレルに直したときに、みんな3. 7というのがどこかについているんです。今の人間はわかりますけれども、10年後の人間はわかりませんよ、あれ。何でこんなにいつまでもついているのかなとかね。だからその辺のところも、むしろ逆にきれいにしてしまうというチャンスはチャンスなんですよね。

○佐藤委員長 これも私がいろいろ計算をやっていたころに思ったんですが、それまで産業界では伝統的に、例えば熱伝達係数というのはBtu/f・h・だったんです。それをメートル法に換算するというのでKcal/m2・hr・℃なんです。そうすると換算係数が4. 88なんですね、大体。それでBtu単位のころは、例えば沸騰表面熱伝達は1万Btuですね。要するにそのオーダーだと。これをまともにやったものだから4万8, 800と、こうなってしまったんです。全然これは意味が違ってしまうんですね。ということなんで、私SI単位そのものにもそういう意味では、基本的なディメンジョンを一律にするというのは少し首をかしげるところもなくはないんです。今申し上げた、例えば熱伝達係数の昔の単位はスクエアメーターアワーなんですね、分母が。これ決して意味のないことじゃないんです。そういうディメンジョンをとっているというのは。つまりそのぐらい、ある意味で平均化されたステーショナリーな状態で検出される量だという意味だったんです。今のようにwと、こうやりますと、これは単位が秒になるんですね、ディメンジョンが。そうすると本当は、単位系の意味が変わるんです。だけれども、そういうディメンジョンをきちんとそろえておくということのメリットの方がはるかに大きいであろうからということでしょうね。

○金川委員 今の有効数字の話というのは、要するに今の有効数字を崩さないための措置で考えるといったときに、もともとの今あなたがおっしゃったBtuで1万というものが別な意味を持ってきている。これは非常に重要なんですね。ですからそういう点で言いますと、今度はSI系に全部直すということで、ですからその1万に決めるその考え方が重要なんです。だからそれを生かすように、むしろ全部変えちゃった方がいいと思うんです。

○佐藤委員長 そうなんです。ですからこれは……。

○金川委員 有効数字にこだわるんじゃなくて、考え方を崩さないということが大事だと思いますね。

○佐藤委員長 これも新しい単位系が定着し使われていけば、そういうその単位系における概念というものが定着してきますので、そうなれば問題はだんだん解消していくことになると思います。

私なんかはしばらくの間、お相撲さんの身長、体重をメーター、キロで言われて全然ぴんとこなかった時期がありますので、今は多少なれてきていますけれども。

とりあえず、現在のところは今言った有効数字の問題等若干ありますけれども、この換算係数に従って読みかえる。それで細かい検討等は随時その機会を見て基準部会等で見ていただくという取り扱いでよろしゅうございますでしょうか。

それではそのように、今いろいろ意見が出ましたのも、ひとつ事務局、念頭に置いていただいて、それで関係箇所へのご通報なりといったような措置をとっていただくようにお願いいたします。

それでは、次の議題でございます。

これは原子力安全調査室の方で、これまで原子力施設の耐震安全性に関する調査等を外部にお願いしていたことがあるわけでありますが、本日は昨年度、平成10年度までの調査結果についてご報告をいただきたいというふうに考えます。財団法人原子力発電技術機構の平野原子力安全解析所長、それから大西安全対策計画室の次長、小坂主任解析員、お3人の方においでをいただいております。

それでは、よろしくご説明をお願いいたします。

○事務局(小原管理官) 初めにちょっと事務局の方から原子力機構のことをご紹介させていただきます。

耐震安全性に関する知見あるいは情報量の集中制度ということは常日ごろからなされているところですけれども、ただいまの原子力施設の耐震安全性に関する調査、これにつきましてはこの一環ということで、ただいま委員長からお話しありましたように、平成8年度から財団法人原子力発電技術機構にお願いをいたしまして、欧米諸国の原子力施設の耐震基準といったようなことを中心に調査をお願いしてきたということでございます。

調査対象といたしましては、まず原子力開発利用の歴史が長くて地震関連の研究が盛んであるという米国をまず皮切りにしまして、9年度には設計の標準化が進んでいるという観点からフランス、さらに昨年度は米国の原子力施設とそれから国内の情報という観点から、兵庫県南部地震以降に耐震設計基準類の改定が行われております我が国の一般構造物に関する調査といったようなものをお願いをしたところでございます。

そういうことで、いわゆる耐震基準ということで、体系化されたものに関する調査というものが一段落したというタイミングでございますので、本日その辺のところについてご報告をいただきたいというふうに考えていたところでございます。

なお、引き続き本年度につきましても、学術論文といったようなところの耐震設計関連文献類の整理を引き続きお願いをしているという状況にございます。

ということで、内容につきましては本日おいでいただいておりますので、原子力発電技術機構さんの方からお願いをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

○説明者(平野所長) 原子力発電技術機構原子力安全解析所長の平野です。

それでは、時間の関係もありますので、早速具体的な調査結果について、前半の各国における原子力施設の耐震安全性に関する指針を調査して、我が国の耐震安全性の指針と比べた結果につきまして大西の方から、それから最近の我が国における一般土木建築物の耐震関連指針の改定の動向につきましての調査を小坂の方からご説明いたします。

○説明者(大西次長) NUPECの大西でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、まず私の方から報告させていただきます。

報告をさせていただきます前に、まずお手元の資料の構成をご説明いたします。

1ページ目にI.調査目的及びII.調査実績を記載してございます。これらにつきましては、先ほど管理官の方からご説明がございましたので、省略させていただきます。

1ページ目の下半分から、III番目の大項目といたしまして、これまでの調査結果を記載してございます。そのうち、1.各国の原子力施設の耐震安全性に関する調査結果の記載が7ページ目まで続いてございます。この各国の原子力施設の耐震安全性に関する調査結果につきまして、1ページ目にはa.耐震設計の基本方針と書いてございます。2ページ目にはb.施設の重要度分類を記載してございます。それから2ページ目から5ページ目には耐震設計の評価法について記載させていただいてございます。5、6ページにはその他の特記事項、さらに7ページ目にはe.諸外国の耐震関係指針類の改定動向につきまして、それぞれ各国の状況を箇条書きいたしまして示してございます。

なお、8ページ目から最後の11ページ目までには、2.我が国耐震関連指針等の改定動向に関する調査結果を記載いたしてございます。

それでは、1.各国の原子力施設の耐震安全性に関する調査結果の内容につきまして報告を始めさせていただきます。資料は1ページ目の下の方になります。

まず最初に、原子炉施設の耐震設計の基本方針について各国の比較を行いました。

我が国では耐震設計審査指針におきまして、「発電用原子炉施設は想定されるいかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘引とならないよう、十分な耐震性を有していなければならない。また建物・構築物は原則として剛構造にするとともに、重要な建物・構築物は岩盤に支持させなければならない」と規定されてございます。

一方、アメリカ、フランス、ドイツにおきましては、耐震安全性の要求はほぼ同様でございますか、岩盤支持の要求がないことに加えまして、剛構造の要求もございません。例えばフランスにおきましては、一部の原子力発電所で免震構造を採用いたしております。

次に、原子炉施設の重要度分類について各国の比較を行いました。資料は2ページ目になります。

我が国では耐震設計審査指針で、原子炉施設の耐震設計上の施設別重要度を地震により発生する可能性のある放射線による環境への影響の観点からA、B、Cの3クラスに分類してございます。

アメリカ、フランス、ドイツでも原子炉冷却材圧力バウンダリの健全性の確保、原子炉の停止、残留熱除去、放射性物質封じ込め機能等を有するかどうかの観点で、各施設を耐震設計を課すものとそうでないものの2種類に分類いたしております。

それでは次に、耐震設計評価についての報告をさせていただきます。

耐震設計評価につきましては少し細かく分かれてございまして、2ページ目の(a)基準地震動、それから3ページ目の(b)基準地震動の定義位置、それから(c)活断層の評価及び(d)基準地震動の策定、これが3ページ目に記載してございまして、4ページ目に(e)鉛直地震力及び5ページ目の(f)耐震設計法(許容限界の考え方)の6項目に分けて報告させていただきます。

まず最初に、基準地震動についての報告をさせていただきます。資料は2ページでございます。

我が国では、耐震設計審査指針において基準地震動はその強さの程度に応じ2種類の地震動S1 、S2 を設定してございます。一方米国では、地質学、地震学及び地盤特性を考慮し、潜在的に起こるかもしれないと考えられる最大地震として安全停止地震動(SSE)を設定しておりまして、発電所の運転継続の可否を判断するための運転基準地震(OBE)を別途設定してございます。

フランスでは、歴史地震等から起こることが予想される地震を最大想定歴史地震(SMHV)としてございまして、さらにSMHV地震の不確定性を考慮し、MSK震度階でSMHV震度に1を加えるということで、安全停止地震(SM S)の震度を設定してございます。

ドイツでは、1種類の基準地震動のみを規定してございまして、その大きさは歴史地震等の地震の活動性と不確定性を考慮した地震ゾーニングマップに基づきまして、その領域のMSK震度階により決められる最大加速度を基準に設定してございます。

2番目の項目といたしまして、基準地震動の定義位置についての報告をさせていただきます。資料は3ページでございます。

我が国では、耐震設計審査指針で原子炉施設の耐震設計に用いる地震動は敷地の解放基盤表面(岩盤)における地震動に基づいて評価しなければならないと規定されております。

一方、アメリカ、フランス、ドイツでは、基盤すなわち岩盤ではなく、自由基盤表面で定義されてございます。

3番目の項目といたしまして、活断層の評価についての報告をさせていただきます。資料は同じく3ページでございます。

我が国では、耐震設計審査指針に基準地震動S1 及びS2 の発生源として報告書に記載のとおりの説明がなされてございます。

一方、アメリカでは安全停止地震(SSE)をもたらす可能性のある地震源として、過去5万年に少なくとも1回、または50万年の間に繰り返して活動したものと規定されてございます。

フランス、ドイツではほとんどの地域の地震レベルは小規模でございまして、地震と活断層を結びつけるための情報が少なく、活断層の調査に係る明確な規定はございません。したがいまして、耐震設計に用いる地震動の評価は、主に歴史地震に基づいているようでございます。

4番目の項目といたしまして、基準地震動の策定についての報告をさせていただきます。資料は同じく3ページでございます。

我が国では、耐震設計審査指針に地震動の最大振幅、周波数特性、地震動の継続時間及び振幅包絡線の継時的変化が適切であることと規定されてございます。これらの規定に従いまして、我が国では標準的に大崎の手法が用いられております。

一方アメリカでは、地震動の大きさ、震源と敷地の位置関係、応答スペクトル特性が類似しております強震記録の時刻歴波形、またはそれらを統計処理した時刻歴波形を用いることが容認されておりました。また、時刻歴波形がない場合にはNRC Regutatory Guide 1. 60に記載されております標準応答スペクトルをもとに基準地震動を策定しておりました。

ただし、1997年の改定で確率論的要素が要求されるようになりました。この点につきましては、後でもう一度ご説明をさせていただきます。

フランスにつきましては、プラントの標準設計の型式ごとに共通の設計用応答スペクトルを使用いたします。

ドイツではNRCの、先ほども言いました1. 60の標準応答スペクトルを、ドイツ用に見直した応答スペクトル等を用いて基準地震動を策定してございます。

5番目の項目といたしまして、鉛直地震力についての報告をさせていただきます。資料は4ページでございます。

我が国の耐震設計審査指針では、「Aクラスの施設は、設計用最強地震による地震力又は、静的地震力のいずれか大きい方の地震力に耐えること。さらにAS クラスは設計用限界地震による地震力に対して安全機能を保持できること」との要求がございまして、ここで設計用最強地震及び設計用限界地震による水平地震力は、基準地震動の最大加速度振幅の1/2の値を鉛直地震度として求めた鉛直地震力と同時に、不利な方向の組み合わせで作用するものと仮定いたします。静的地震力は静的水平地震力及び静的鉛直地震力が同時に不利な方向の組み合わせで作用するものとし、静的鉛直地震力は震度0. 3を基準としまして、建物・構築物の振動特性、地盤の種類等を考慮して求めた鉛直震度により算定いたします。

一方、アメリカ、フランス、ドイツにおきましては、原則といたしまして動的な水平地震力と鉛直地震力を組み合わせてございます。

耐震設計評価法に関します最後の項目といたしまして、許容限界の考え方についての報告をさせていただきます。資料は5ページでございます。

我が国では、耐震設計審査指針の規定に従い、設計用最強地震には許容応力度設計法、設計用限界地震には終局耐力に対して安全余裕を確保する設計を採用してございます。

一方アメリカでは、鉄筋コンクリート部材は米国コンクリート協会の基準に従いまして、終局強度設計法を採用してございまして、機器、配管につきましてはASME Sec. IIIのサービスリミットDの許容応力を用いて評価してございます。

フランスでは建物について限界状態設計を荷重・耐力係数法を採用してございます。

ドイツにつきましては、鉄筋コンクリート部材について許容限界ひずみを設定し、評価を行ってございます。

それでは次に、その他の特記事項について報告させていただきます。資料は同じく5ページでございます。

まず最初に、必要保有水平耐力でございますが、我が国では耐震設計審査指針で、建物・構築物について、当該建物・構築物の保有水平耐力が必要保有水平耐力に対して重要度に応じた妥当な安全余裕を有していることが要求されてございます。

一方、アメリカ、フランス、ドイツでは原則として動的解析を行うこととしてございまして、必要保有水平耐力に関します要求はございません。

次に、地震観測等でございますが、我が国には地震観測に関する要求はございません。ただし技術基準によりまして、地震により原子炉を安全に運転することができなくなるおそれが生じたときに、これを確実に検出し、速やかに原子炉の運転を自動的に停止する装置を設置しなければならないと規定されてございます。

一方、アメリカ、フランスでは地震観測用の地震計の設置が義務づけられでございます。ただし、原子炉自動停止回路は設けられておりませんで、必要に応じ手動で原子炉を停止させることとなってございます。

ドイツでは、地震観測用の地震計の設置が義務づけられておりまして、さらに地震による原子炉手動停止回路が設けられてございます。

最後に、応答解析時の構造物、機器の減衰定数でございますが、我が国ではS1 でもS2 でも同じ数値を用いてございまして、その値も他国と比べて比較的小さい値となってございます。

一方、アメリカ、フランスでは2段階の基準地震動レベルに応じた減衰定数を使用しております。

ドイツでは基準地震動が1種類でございますので、減数定数も1段階のみですが、各国の減数定数は我が国の値に比べて概して大きいものになってございます。

それでは、最後に諸外国の耐震関係指針類の改定動向につきまして報告をさせていただきます。資料7ページでございます。

まず最初にアメリカでございますが、アメリカにおきましてはTMIの事故以来の安全研究成果の反映、例えば事故時のソースタームの変更等を取り込んで、新設炉に対します立地基準が1997年に改定されてございます。この立地基準の改定に伴いまして、耐震関係の指針類につきましても改定が行われております。

主要な変更点といたしましては、まず確率論的地震ハザード解析の実施要求でございます。従来は決定論的な手法のみで安全停止地震(SSE)を決定いたしておりましたが、改定後は地震事象の不確かさを補うために、確率論的地震ハザード解析または感度解析の実施が要求されてございます。

次に、安全停止地震と運転基準地震の分離がなされてございます。従来はOBE、運転基準地震でございますが、基準として安全停止地震の最大加速度の1/2以上とするとの要求がございましたが、改定後は運転基準地震動の最大加速度レベルを事業者が独自に設定することができるようになりました。安全停止地震動の最大加速度の1/3以下に設定する場合は運転基準地震動を用いた耐震設計法が不要となってございます。

最後に、運転基準地震の定義が変更されてございます。従来、運転基準地震動はプラント寿命期間中に発生し得ることが妥当と考えられる地震動として定義されてございましたが、改定後はプラントの運転継続を判断するための地震動として定義されました。したがいまして、運転基準地震動を上回る地震動を発生した場合、または原子炉施設に著しい損傷があった場合には原子炉施設を停止することが明確化されてございます。

以上、各国の原子力施設の耐震安全性に関する調査結果につきまして、報告を終わらせていただきます。

○説明者(小坂主任) 引き続きまして、原子力機構の小坂の方から、我が国の耐震関連指針等の改定動向に関する調査結果をご報告させていただきます。

土木関連施設及び建築関連施設の耐震指針類について兵庫県南部地震以降の改定動向を調査した結果、以下のことがわかりました。

対象指針類については本資料の最終ページ11ページに載せてございます。

説明に関しましては土木関連施設、建築関連施設の大きく2つに分けまして説明をさせていただきます。

まず土木関連施設なんですが、土木関連施設は対象施設ごとに法令に則した耐震関連指針が定められておりまして、これに基づきまして設計されております。

改定前につきましては道路橋及び鉄道施設については発生頻度に応じた2段階の地震動レベルを想定いたしまして、それぞれの地震動レベルに対しても目標耐震性能を設定するという設計をしておりました。

他の施設につきましては、水平震度で約0. 2に相当する1段階の地震動レベルに対して目標耐震性能を設定して設計をしておりました。

このような中で兵庫県南部地震が平成7年1月17日に起こりまして、その被害というのは橋脚の倒壊、橋げたの落下あるいは地盤の液状化とそれに伴う港湾施設や河川・堤防の沈下、亀裂というようなものとなっております。

このような被害状況をかんがみまして、土木学会の方から提言が出されておりまして、それが平成8年5月ということになっておりますが、提言の大きな内容は、まず構造物の耐震性能を2段階の地震動強さを想定して照査すべきであるということであるほか、構造物の重要度に応じた設計を行う、さらに実際の被害状況に応じて現行の耐震基準を見直すなどということになっております。

このような提言を受けまして、多くの指針について改定がなされたわけなんですが、改定後としまして大きなポイントは、まず以下のような2段階の地震動強さを想定することでレベル1とレベル2の地震動というものを想定する。それから、2段階の地震動強さあるいは施設の重要度に応じて目標耐震性能を設定するというようなことが一番大きなポイントとなっております。さらに、地盤の液状化に関する規定を改定または新たに追加したものであるとか、道路橋につきましては免震設計の具体的な規定を追加したというような例を載せております。

ダムにつきましてはほとんど変更なしということになっております。

以上が土木関連施設の改定動向でございます。

続きまして、建築関連施設の改定状況について説明させていただきます。一般的に建築関連の施設というものは、建築基準法に基づき設計されています。

その建築基準法なんですが、かねてより経済社会の構造的変革とか規制緩和というような要請を背景といたしまして、建築基準体系の見直しあるいは手続制度の整備について検討されてきておりまして、平成10年6月、改正に至っております。主要な改正点としては、性能規定化がありまして、従来の仕様規定型から性能表示型の設計に移行するということになっております。

耐震に係る施行令につきましては検討中ということになっておりまして、詳細は未定です。

このような中で兵庫県南部地震が起こりまして、そのときの被害といいますのが、例えばピロティー部の破壊であるとか中間層の圧壊等の破壊、それからどちらかというと施工不良というのが注目されたんですが、古い木造家屋の倒壊というような被害が見られました。

これらの被害について分析した結果、被害を受けた建物というのは現行の耐震設計基準以前に設定されたものがほとんどでありまして、現行の耐震設計基準につきまして設計された建築物はおおむね健全であったということが現象として挙げられます。

それから、学校施設につきましては避難場所として大きな役割を果たし、その重要性が再認識されたということがありました。

建築物はおおむね健全であったという話なんですが、これにつきましては建設省から報告されております建築震災調査委員会の最終報告書におきまして、現行の耐震設計基準による建築物については被害が少なく、最低基準としての現行の耐震設計基準はほぼ妥当であり、水準面での抜本的な改正は必要ないと考えられるというような報告がなされております。

そのような背景がありまして、現行の耐震設計基準というものにつきましては、標準的に1次設計と2次設計の2段階の設計を実施するということになっておりまして、1次設計といいますのは施設の耐用年限中に数度は遭遇する地震、中地震程度のものに対して設計水平震度0. 2を設定して目標耐震性能として建物が損傷なく機能を保持すること、2次設計というものにつきましては、偏心率や高さなどの観点から構造的なバランスが不備な建物については2次設計を行うものですが、耐用年限中に一度遭遇するかもしれない大地震として震度1. 0を想定しまして、これに対して部分的な損傷は許容するが崩壊しない、人命保護というような観点から設計を行っていきます。

このような状況の中で、公共性が非常に高い建物として重要性が再認識された学校施設、それから官庁施設に関しまして、指針が以下のように改定されていることがわかりました。

まず学校施設なんですが、改定前につきましては、現行の耐震設計基準と同様に1次設計と2次設計の2段階の設計を実施しております。学校の設計におきまして特徴的なのが、2次設計におきまして設計水平震度を現行の耐震設計基準1. 25倍する、係数を掛けるということになっております。

改定後につきましては、2次設計においてのみ1. 25倍の定数を掛けていたんですが、改定は1次設計においても現行の耐震設計基準の1. 25倍の係数を掛けるというように改定がなされております。

官庁施設にいきまして、官庁施設に関しましては、改定前から現行の耐震設計基準と同様に1次設計と2次設計の2段階の設計を実施しておりました。さらに、建物の重要度に応じて重要度分類を行いまして、目標耐震性能を設定しておりました。重要度分類は下に示しておるようにI類、II類、III類というふうになっております。

改定後につきましては、重要度分類はそのまま持ち越されているんですが、2次設計における地震力を重要度分類ごとに定めた重要度係数倍する規定を追加しております。

係数倍につきましては下に書かれておりますようにI類は1. 5倍、II類は1. 25倍で、III類につきましてはそのままということになっております。

さらに大地震時の機能保持が特に必要な施設に対しましては、免震構造あるいは制振構造といった構造設計の適用を検討するように追加されているというのがわかりました。

以上をもちまして、日本の耐震設計基準の調査について報告を終わります。

○佐藤委員長 ありがとうございました。

何かご質問等ございますでしょうか。

○松原委員 ちょっと、フランスとかドイツというのは歴史地震という言葉も出ているんだけれども、これはドイツ、当該国におけるということですね。

○説明者(大西次長) さようでございます。

○松原委員 というと、こういうところは余り地震はないところなんですか。

○説明者(大西次長) ないという実績ということでございまして。

○住田委員 9ページの日本の研究関連の施設でこういう被害から見て、こういう建築基準の見直しはあるということが書いてあるんですけれども、私なんかは学識がないものですから、学校とか官公庁の施設がこういうふうに改定されたと言われても、それが実際我々の関係しているような原子力関係の施設に応用されるときに、特にどういうところが問題になるのかという読みかえが簡単には頭の中ではできないんですけれども、特にどういうところが問題になるのでしょうか。

○説明者(平野所長) 原子力施設の耐震設計に対してどういう影響が起こるかという読みかえの話なんですが、実際に読みかえを行ってみようという場合には、入力のレベルであるとか具体的に概念的な話から比較検討しないといけないと思うんですが、その辺については特に比較検討をしておりませんで、ここで一概に調査結果といたしまして原子力施設の耐震設計に影響が出てくるということについては、ちょっと申し上げかねます。

○住田委員 何も出ないかもしれませんけれども、私のようなど素人には、もう少し具体的なイメージを与えていただかないと、どうもこれだけ言われますと抽象的過ぎて、一般論として建築学会の報告書を見ていたらそういうことを書いてあるんですが、それが我々の場合にどういうふうに原子力施設の耐震安全性ということに関連してくるのかには、ぴんときにくいんですけれどもね。

ですから例えば、非常に単純なことを言いますと、例えば一般論としてはこうだけれども、例えば木造建屋なんかは原子力には関係ないですからね、まずね。だからこんなものは問題じゃないとか。

それから、非常に大きな、我々の場合ですと、例えば格納容器とかあるいはそれの包容というような、ある種の非常に大きなドーム状の建物で落壊することがありますから、そういうものにはこういうのは参考になるんだとか、何かもうちょっとこう教えていただけたらなと思うんですがね。

○佐藤委員長 このI類、II類、III類ですか、こういうふうにまず重要度分類ですね。それで耐震性能、つまりこれまでのスペシフィケーションリクワイアメントからパフォーマンスリクワイアメントに規制を変えていこう。よって、その目標とする耐震性能を与える。問題は、どういう目標が具体的に例でもいいんですが、どういう目標が今与えられているんだろうか、あるいは作業中なのか、その辺の何か情報はございますか。

○小坂主任 建築基準法の改定動向という観点で説明させていただきますと、報告の中でも発表させていただきましたとおり、建築基準法につきましては改定はなされているんですが、耐震に関する施行令に関しては、現在改定途中でありまして、来年の6月を目途に施行するというふうには言われておるんですが、建設省側から公開されている文献といたしまして、関連の情報というものが出ておりませんので、具体的な内容についてはまだわからないという状況でございます。

○佐藤委員長 ああなるほどね。はい、わかりました。

○金川委員 8ページに土木関係の道路、橋について下から3行目ですけれども、免震設計の具体的な規定を追加とありますよね。免震設計というのはかなり重要な意味を今後持つのではないかと思っているんですが、これは要するに道路や橋については免震設計がかなり効果的であるという認識が多分あったからかなという気もしているんですけれども、建物、建築の方に全く出てきませんね。ということは建築の方では特に免震は規定上もある意味では確立されているということで、特に今度兵庫県南部地震を経た、特にそういう手当はないんだというふうに思ってよろしいわけですかね。

○説明者(小坂主任) それにつきましても、まず官庁施設につきましては、改定後というところに、大震時の機能保持は特に必要な施設に対しては免震構造及び制震構造の適用を検討するように追加という項目がありまして――10ページの一番最後でございます。そういう形で入っておりまして、やはり免震あるいは制振というような構造の重要性についても認識されている形でございます。

○金川委員 官庁にはあるわけね。官庁以外は書いてないわけですか。

○説明者(小坂主任) そうですね、学校施設の方につきましては、特に今回の改定では免震構造について指摘はありませんでした。

○佐藤委員長 ほか、よろしゅうございますでしょうか。

○住田委員 ちょっと時間があれでごめんなさい。ついでで申し上げますけれども、台湾での地震で、原子力発電所が一応運転停止したというニュースが出たんですが、余り詳しいことが出ていなかったんですが、何かそれの関連のことでご存じの方、どういうあれでとまったとか、ご存じでしたらちょっと教えていただけたらと思いますけれども。

○事務局(小原管理官) 事務局の方から。詳細な情報がまだつかみ切れていなくてちょっと漠としたところになってしまうと思うんですけれども、わかっている範囲でご報告させていただきます。

まずご存じのように、9月21日、現地時間で午前1時47分ころに台湾の中部を震源とするマグニチュード7. 6の地震が発生したということでございますけれども、それに対して台湾の原子力発電施設は北部に4基、南部に2基、合計6基あるわけですが、そのうちの北部の3基が運転を停止したというふうに聞いてございます。これにつきましては、北部の4基のうち1基は定検でもともととまっていたということで、残りの運転していた3基が運転を停止したということでございます。

その原因としましては、地震による揺れそのものによるものではなくて、台湾中部にあります変電所が損傷したということで、それを受けた送電系統あるいは電力バランスが崩れたということによって運転を停止した模様でございます。

ちなみに、発電所周辺での揺れとしましては、日本での震度階ですと4に相当するという程度のものというふうに聞いてございます。

ちなみに、停止いたしました3基につきましては、先週末の時点で、3基ともいずれも運転を再開しているというふうに聞いてございます。

○佐藤委員長 はい。

よろしゅうございますか。ほかに何かご質問あるいはご意見がなければ。

それでは、どうもありがとうございました。わざわざご説明をいただきまして。

本日はこのほかに審議すべき案件等はございますか。

○事務局(仲嶺首席) 特にございません。

○佐藤委員長 それでは、本日はこれで散会といたします。

午後 3時03分 散会