プロ野球開幕 苦境の時こそ最高のプレーを
プロ野球が、セ・パ両リーグとも12日に開幕する。東日本大震災の爪痕が生々しく残る中でのペナントレースである。
困難な時だからこそ、選手は全力でプレーし、被災者、さらに日本全体に希望と活力を与えてもらいたい。
両リーグとも当初は3月25日に開幕の予定だった。1950年に2リーグ制となって以降、開幕日が変更されたのは初めてだ。
パ・リーグは、楽天の本拠地である仙台市の球場が被災したこともあり、早々に延期を決めた。
3月中の開幕を目指したセ・リーグの対応には、電力不足などを理由に批判もあった。
だが、一日も早く野球を通して社会を元気づけたいという思いは、選手、球団、そしてファンに共通するものだろう。
「見せましょう、野球の底力を。野球選手の底力を。野球ファンの底力を」――。今月2、3日に行われた慈善試合のセレモニーで、楽天の選手会長である嶋基宏捕手はこう訴えた。
12球団の選手は今季、「がんばろう!日本」のロゴマークをヘルメットにつけて試合に臨む。
熱戦を展開し、復興へのカンフル剤となることが、国民に根付いたプロ野球の務めである。
日本ハムの斎藤佑樹投手、巨人の沢村拓一投手ら「黄金世代」のルーキーの活躍を楽しみにしている人も多いだろう。
試合を行うにあたり、深刻な電力事情に最大限、配慮すべきであることは言うまでもない。
照明などの節電対策として、東京電力、東北電力管内では両リーグとも4月中はナイターを開催しない。東京ドーム、西武ドームではデーゲームも実施しない。
夏場に電力事情がより切迫した場合には、日程変更などの柔軟な対応が求められよう。
2001年に米同時テロが起こった際、大リーグは発生から6日後に試合を再開した。当時、ニューヨーク・メッツのピアザ捕手は「せめて、試合中の2時間、3時間は、つらいことを忘れてほしい」とメッセージを送った。
まさに今、日本の球界全体がこうした気持ちであろう。
選抜高校野球大会では、被災地から出場した東北高校(仙台市)のプレーが感動を呼んだ。
サッカーでも、日本代表とJリーグ選抜が対戦したチャリティー試合の中継の瞬間最高視聴率が、仙台地区で30・1%に達した。
国難といえる時、スポーツが果たす役割は決して小さくない。
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