2011年4月11日15時10分
菅直人首相は11日、東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐる賠償問題に対する取り組みを強化するため、原発災害支援担当相を新設する方針を固めた。原発を所管する海江田万里経済産業相に兼務させる。一両日中にも閣議決定し、公表する方向だ。
政権は担当相新設に併せ、東電の賠償問題に関する対策本部も新設する。担当相は政治判断が求められる東電と国の負担割合などの調整にあたる方向だ。
原発事故などの賠償制度を定めた原子力損害賠償法(原賠法)では、賠償責任は一義的に事業者が負い、政権も一義的には東電に責任を持ってもらう立場だ。ただ、被害は避難した周辺住民だけでなく、農作物や海産物にも広がり、賠償額は少なくとも数兆円以上に上るとの指摘もある。
東電の負担がふくらめば、電気料金の引き上げなどにもつながりかねず、菅首相も1日の会見で「東京電力の第一義的な義務、責任(能力)を超える場合には政府として責任を持って対応しなければならない」と語っていた。
原発事故のニュースは、世界中をかけ回り、原発反対のうねりを呼び起こしつつある。選挙では、原子力政策にブレーキをかける動きもある。福島ショックは、どこまで波紋を広げるのだろうか。