「北で人権問題改善されず、韓国では外国人差別」

米国務省発行の人権報告書

 米国務省は9日、昨年の世界194カ国の人権状況に関する報告書を発表し、その中で「北朝鮮の人権状況は相変わらず暗鬱(あんうつ)で、情報の疎通や適法手続き、言論・表現の自由など、保護されるべきあらゆる分野で、人権に基づいた価値がじゅうりんされている」と指摘した。この報告書では北朝鮮の人権状況について、昨年は「慨嘆する」、2009年は「劣悪」などと表現されていた。

 報告書は「北朝鮮政権は国内外に伝わる情報を厳しく統制し、政治犯はもちろん、任意で逮捕されたり拘禁された人物に対して、市民に与えられるべき適法な手続きが保証されていない」と指摘している。また非政府組織(NGO)関係者の証言に基づき「残酷で体系的な人権じゅうりんは、監獄や収容所などで今も行われている」「司法手続きを経ずに処刑や失踪、恣意的な拘禁、政治犯の逮捕、拷問などが行われており、妊娠した女性収監者が堕胎を強要されたり、収容所内では子供が生まれると同時に死に追いやられるケースもある」と記載されている。

 一方、韓国の人権状況については「ベトナム人新妻殺害事件にみられるように、外国人への暴力がたびたび報じられている。また、脱北者も社会的差別に苦しんでいる」とし、少数のマイノリティーや民族に対する差別を問題点として指摘した。女性の人権については、康容碩(カン・ヨンソク)議員の事件について言及し「ある国会議員が女子大生へのセクハラとも受け取られかねない発言を行い、出頭が求められたことがある」と記載されている。

 政府がインターネット関連の法規制を都合よく解釈することに起因する問題点も、一部で指摘された。報告書には「ブログで政府の経済政策を批判したミネルバ(ペンネーム)が起訴されたが、憲法裁判所の決定に基づいて取り下げられた」との記載もあった。

イム・ミンヒョク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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