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福島第1原発:20キロ圏を警戒区域に 政府が設定方針

福島第1原子力発電所周辺の累積線量結果(9日現在、単位はミリシーベルト。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルト)
福島第1原子力発電所周辺の累積線量結果(9日現在、単位はミリシーベルト。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルト)

 政府は10日、福島第1原発事故で避難指示を出している半径20キロ圏内について、立ち入り禁止や退去命令を出すことができる「警戒区域」とする方針を固めた。福山哲郎官房副長官が同日、福島県を訪れ地元自治体との調整に入った。避難住民が今後一時帰宅する際には、退去を拒む人が出る事態も想定される。住民の安全確保のために政府や自治体の指示に従ってもらうには、法的根拠を整える必要があると判断した。

 福山氏は同日のフジテレビの番組で「20キロ圏内には放射性物質がある。一時帰宅後の(住民の)除染措置の計画をしっかり立てるため、それぞれの自治体と相談して警戒区域に設定する必要があるという認識だ」と語った。

 枝野幸男官房長官は警戒区域の設定と一時帰宅の時期に関し「今、最終段階の詰めをしている。(段取りの発表は)そう遠くない時期と思っている」と首相官邸で記者団に語った。20キロ圏外が警戒区域に含まれる可能性については「どういった範囲をどうするのかという詰めをしている」と述べるにとどめた。

 警戒区域は災害対策基本法に基づき、市町村長が設定する。今回の避難指示は政府が決めたため、首相が原子力災害対策特別措置法によって市町村長に指示する形を取る。警戒区域が設定されると、防災関係者ら以外の立ち入りが禁止され、退去を命じることができる。

 また、福山氏は一時帰宅の方法について「何日も戻れるのではない。防護服を着て、警察や自衛隊の協力を得ながら、重要なものを取りに帰るために1、2時間戻っていただく」と説明した。また、「30キロ圏外でも(放射)線量が上がっている地域がある」と指摘し、避難指示を拡大する際に、放射線の測定結果に基づき、30キロ圏外にも及ぶ可能性を示唆した。【吉永康朗】

毎日新聞 2011年4月10日 21時45分(最終更新 4月10日 22時46分)

 

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