2011年4月10日 10時27分 更新:4月10日 12時0分
宮城県石巻市で飲食店を経営する斉藤夏子さん(60)は毎夕、「ありがとう」と書いた看板の脇に立ち、国道を走る救援車両にお礼をする。孫綾香ちゃん(8)や、近所の人が一緒に手を合わせる日もある。全国からの支援が身に染みており「感謝の気持ちをどうしても伝えたい」と路上に立つ。
次女の家族が暮らす住宅1階は大津波で冠水。震災2日後に避難先から戻ってきた際、倒れた靴箱などが玄関をふさいでいた。綾香ちゃんが階段にたどり着けないでいると、周辺で活動中の自衛官が抱きかかえ、2階に上げてくれたという。
斉藤さんの自宅兼飲食店は国道108号沿いにあり、夕方になると宿舎などに引き揚げる自衛隊や警察、ボランティアなどの車が列をつくる。復興に尽力してくれる人のことを考えると、感謝の気持ちを抑えきれなくなった。
今月からは「いつでも気持ちが伝わるように」と、店の常連客らと発泡スチロールに「ありがとう」と書き、街灯の柱に付けた。今では自衛官や警察官が敬礼を返してくれるという。斉藤さんは「全国各地の車のナンバーが目に入る。皆さんに支えられていると思うと、もっと『ありがとう』と言いたくなる」と話した。【黒川晋史】