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【サッカー】

仙台出身の大久保が決勝ゴール 被災地へ希望のオーバーヘッド

2011年4月11日 紙面から

震災後初の対外試合でゴールを決めた仙台のFW大久保=市原臨海競技場で

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 千葉合宿中のJ1仙台が10日、市原臨海競技場で東日本大震災後初の対外試合を行い、トップチームは東洋大を1−0で下した。前半33分に決勝ゴールを決めたのは、チームで唯一、地元・仙台出身のFW大久保剛志(24)だ。マルキーニョスの退団、柳沢の左膝負傷で苦しい状況の仙台FW陣に、大久保が希望の光をともした。

 これ以上気持ちのこもったゴールはなかった。震災後初の得点は、仙台生まれの仙台育ちであるFW大久保のオーバーヘッドから生まれた。

 「絶対決めたかった。生まれ育った仙台がこんなになって悔しい。でも、みんな前を向いている。だから少しでも元気を与えたかった」

 大久保自身も、友人が被災し、いとこは家を流された。実家のある岩沼地区は被害こそ軽微だったが、変わり果てた地元を見て、「言葉がなかった」と言う。

 8日にはかわいがってくれた祖父の鶴吉さんが亡くなった。そして9日には姉りえさんに長女が誕生。めまぐるしく起こる大変化の中、大久保はサッカーを続けた。

 「祖父は老衰でしたが、最後に会った時には意識もないはずなのに『頑張るから』と言うと、手を握り締めてくれた。明日(11日)に通夜、明後日に葬儀がありますが帰りません。きっと『こっちで集中しろ』と、祖父は言うと思いますから」

 チームは千葉で練習を続けている。昨年までレンタルで3年間在籍したJFLのソニー仙台は壊滅的なダメージを受け、練習再開のメドもまだ立たない。それでも大久保は地元で26日にはサッカースクールを行った。「活躍を励みにしてるからと言われました。僕らが子供たちを元気にしなきゃいけない」

 マルキーニョスの退団で、チームはこの日から4−2−3−1にシステムを変更。大久保に大きなチャンスが巡ってきた。「マルキさんの分まで自分もがんばる。いろんなことがあったから、誰より自分が頑張らないといけないです」。仙台復興へ、まずベガルタの大久保が大きな第一歩を踏み出した。 (荒川敬則)

 

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