道内
泊原発の津波対策 最大9.8メートルを想定 「2倍は必要」指摘も
(04/10 09:01、04/10 12:59 更新)
福島第1原発の事故を受け、北海道電力が泊原発(後志管内泊村)の津波対策の検討を急いでいる。問題はどこまでの高さの津波に備えるか。専門家からは「想定の2倍ぐらいの津波に耐えられる対策が必要だ」との指摘も出ている。
「福島の津波が高さ14メートルなら、15メートルに対応すればいいのか、16メートルがいいのか、収まりがつかない」。北電の佐藤佳孝社長は3月30日の記者会見で、泊原発の津波対策の難しさをこう表現した。
北電は2008年に結果をまとめた泊原発の耐震安全性評価で日本海沖のさまざまな地点に仮想の震源を設け、シミュレーションを行った上で、最大津波を9・8メートルと想定した。原発は標高約10メートルに位置しており、これを根拠に「原子炉施設が波の被害を受ける恐れはない」と説明してきた。
しかし、立地場所と最大津波の高さの差はごくわずか。しかも、東日本大震災では、泊原発とほぼ同じ標高にある福島第1原発が「想定外」(東京電力)の高さ15メートルの津波に襲われ、非常用ディーゼル発電機などが浸水し、放射能が漏れる重大事故につながった。
北電は福島第1原発の事故後、津波が敷地に達する可能性も考え、移動発電機車を導入し高台に置いたほか、建屋内に浸水しないよう出入り口を壁で囲うなどの対策を検討中。想定する最大津波の高さの見直しについては「国から新たに指針などが示されれば、検討することになる」と話す。
北大地震火山研究観測センターの谷岡勇市郎教授は「地震の規模を示すマグニチュードが0・2大きくなると、津波の高さが2倍になることもある。このため、津波の上限の設定には難しさもあるが、計算上の想定の2倍ぐらいはみた上で対策を立ててほしい」と強調する。
一方、道が09年に作った日本海側の津波浸水予測図によると、泊原発付近の最大津波は6・09メートル。1993年の北海道南西沖地震をモデルに算出したが、「最悪の条件を想定したわけではない」(危機対策課)といい、全面改訂する方針だ。
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