富山福祉短期大学から根津先生が来訪してくださいました。
根津先生は富山県でほっとポット同様に、空き家を借り上げ、家がない方に提供するNPO活動を展開されています。
根津先生の研究テーマは、ソーシャルワークであり、特にアルコール依存症者に対するソーシャルワークを熱心に研究されています。藤田と出身大学が同じということで、ご紹介いただき、お知り合いになりました。
なかでもカナダ留学時代に研究されていたアルコール依存症者に対する"harm reduction"（ハームリダクションアプローチ）研究は非常に先駆的で、私たちもいろいろお話をうかがうなかで、勉強になりました。
アルコール依存症者に対する対応の原則は、「断酒」でありますが、全国的にも世界的にもなかなか効果が上がっていません。
"harm reduction"は、従来の「断酒」から「節酒と酒量のコントロール」へと治療方針・支援方針を変える大きな潮流です。
「お酒をやめないとどうにもなりませんよ」から「やめることは不可能だから何とか一緒にコントロールする練習をしましょう」という選択肢もあることの提示は、大事なアプローチのひとつだと思います。
その人の状況によっては「断酒」が、明らかに不可能な場合、"harm reduction"も選択肢として活用していくことが必要だと思います。
まだまだ日本では実践現場に導入されていない理論ではありますが、今後も根津先生と連絡を取り合いながら、日本モデルを構築していければと思います。
生活困窮状態やホームレス状態に至った方のうち、アルコール依存症という病気に悩まされている方は多いですが、「断酒」以外に支援方針がなく、悩んでいました。
根津先生とお話しし、いくつかヒントをいただいたような気がします。実践へ落とし込む作業は困難を要するかもしれませんが、挑戦していけたらと思います。
ちなみに、オランダでは違法薬物（覚せい剤）の分野で、"harm reduction"が進んでいます。薬物依存症者に違法薬物（ハードドラック）へ再度手を出さないように、合法薬物（ソフトドラック）を医師と連携し、害がない程度、支援者が支給しながら、薬物の摂取量をコントロールしていく支援方法です。
その効果については、論文の内容に差異はありますし、未だ研究段階ですが、一方的に「やめなさい」というよりも、この薬物やこれくらいの量で摂取すれば体に害がなく、社会的コストも少ないという報告もされています。
アルコール依存症者への対応についても一定の効果が表れています。この理論を取り入れるために勉強し続けたいと思います。
根津先生、今日は富山県から遠いところお越しいただき、ありがとうございました。今後ともご指導・ご助言よろしくお願いいたします。
ブログランキングに参加しています。多くの方に情報をお届けしたいです。
↓よろしければクリックしてください
FC2 Blog Ranking