被災者に真心のカレー 岩手で美濃加茂のバングラデシュ人
2011年04月01日09:41
写真:被災者に真心のカレー 岩手で美濃加茂のバングラデシュ人
避難所でカレーを配るエムディ・ヒラ・ダイアモンドさん(右)=岩手県大槌町(ダイアモンドさん提供)

 東日本大震災でほぼ壊滅状態となった岩手県大槌町の避難所を訪れ、ボランティアでカレーを振る舞ったバングラデシュ出身の美濃加茂市古井町、中古車販売業エムディ・ヒラ・ダイアモンドさん(41)が、自宅に戻った。日本に来て21年というダイアモンドさんは「日本に育ててもらった。日本のために何かしたかった」と語った。

 3月18日、愛知県春日井市であったイスラム教の礼拝。テレビで惨状を知ったダイアモンドさんが支援を呼び掛け、ミャンマー、パキスタン、スリランカなどの17人が応えた。

 すぐに米500キロや肉300キロなどカレーの材料や大鍋が集まった。4トントラックとワゴン車2台に積み込み、その日のうちに被災地へ向かった。

 現地は、悲惨な光景が広がっていた。ほとんどの建物が崩れ、がれきの山。車のタイヤに破片が刺さってパンクもした。ダイアモンドさんらは、公民館を拠点に避難所を回り、カレーやチャイ(ミルクティー)など1日1000食分以上を配った。「体が温まる」と喜ばれ、涙を流す人もいたという。

 避難所では、食事が朝夜の2度しかなかった。それでも「カレーを配ると、みんなが譲り合って食べてくれた」とダイアモンドさん。「日本人のそういう優しい心が、多くの人を助けている。自分だけが帰るのはつらかった」と話した。