2011年4月10日11時1分
1994年に愛知県など3府県で4人の若者が殺された連続リンチ殺人事件で、死刑が確定した主犯格の元少年3人(当時18〜19)が朝日新聞の取材に、再審を求める考えを示した。「ちゃんと審理してほしい」との思いからだが、遺族の憤りは深まっている。
小林正人(36)、大倉淳(あつし)=旧姓・小森=(35)、芳我匡由(はが・まさよし)=旧姓・河渕=(35)の3死刑囚は3月10日の最高裁の判決後、名古屋拘置所で朝日新聞記者との面会にそれぞれ応じた。
「最も中心的で重要な役割を果たした」とされた小林死刑囚は、死刑が確定した背景に少年事件の厳罰化の流れがあると言う。被害者側にも非があると考えてきたが、「遺族の心情を考えて、本当の気持ちを抑えた。検察が考える事件の構図で調書が作られ、裁判所はそれに基づいて判決を下した」と話した。
大倉死刑囚は3人の中で1人だけ遺族と面会を続けてきただけに「気持ちは遺族に通じていると思っていたのに」と語った。判決前「死刑でも受け入れる」と語った際に、顔中にあった吹き出物は、判決後、薬でおさまった。死刑確定の心境を問われ、「まだ実感はないです。一生懸命生きて罪を償いたい」と答えた。
芳我死刑囚は公判で「自分は指示された」と主張したが、最高裁の判断は「追随的・従属的とはいえない」だった。「死刑でもいい。真実に基づいて裁かれたい」と何度も言った。現在、罪を犯した少年少女らの更生を支援する団体の代表を務める。「非行に走る少年少女の多くが虐待を受けている。自分もそうだった。自分の体験を彼らの更生に役立てたい」と語った。
一方、長良川事件で長男を亡くし、一貫して3人の死刑を求めてきた江崎恭平さん(66)は「死刑を受け入れると言いながら、本心は嫌だということだ。昔から何も変わっていない」と話した。(志村英司)