水無月ばけらのえび日記

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最近一週間ほどのえび日記

2011年4月6日(水曜日)

加害者家族

公開: 2011年4月10日2時10分頃

読み終わったので。

犯罪加害者や、冤罪で逮捕された人の家族がどのような経験をしたか、というドキュメンタリー。NHKの「クローズアップ現代」で放送したものに加筆したもののようですが、有名な事件の家族に取材していて興味深いです。

「インターネットの暴走」という章もありますが、ここはそれほど深く掘り下げられていないようで少し残念。加害少年や家族の写真やプライバシー情報が削除されずに残るという問題が挙げられていたり、2ちゃんねるの話が挙げられたりしていますが、視点としては特に目新しいものはないように思いました。

※あと、グロービートジャパンと平和神軍観察会の事件が引用されているのですが、これは「直接関係するものではない」という断り書きがあることを考慮してもちょっと違うような感じがします。

個人的に最も驚いたのは、アメリカでの加害者家族への反応。

実名が報道されたことで、母親のもとにはアメリカ全土から手紙や電話が殺到した。手紙は段ボール2箱に及ぶ数だった。

だが、その中身は、本書でこれまで見てきたような日本社会の反応とはまったく異なっていた。加害少年の家族を激励するものばかりだったのだ。

以上、p182 より

この違いの理由は何なのでしょうね。「民度」「意識」の問題ではないかとする見解が引用されていますが、このあたりはもう少し考察してみたいですね。

加害者家族 (幻冬舎新書 す 4-2)

関連する話題: / 買い物

2011年4月5日(火曜日)

都知事選:青少年育成条例への賛否

公開: 2011年4月7日1時10分頃

都知事選では、例の青少年育成条例についての立場を見て投票しようと思っていたのですが、各候補者のスタンスがいまいち分かりにくくて難儀していました。

嬉しいことに、MIAUのサイトにこんなものが……「都政におけるメディアに関する政策についてのアンケート」実施結果のお知らせ (miau.jp)。ちょっと一覧性に乏しいので、規制に関する回答のうち、回答が割れたものだけ抜き出して表にしてみました。

小池 晃中松 義郎渡邉 美樹東国原 英夫
青少年が利用するインターネット端末に対する施策について各家庭へのネットリテラシー教育支援各家庭へのネットリテラシー教育支援ネットサービス事業者が行なう自主的な取り組み各家庭へのネットリテラシー教育支援
SNSサイト等を巡るトラブルについて家庭での取り組みを促進するために、新たな啓発活動が必要学校・事業者による、新たな啓発活動が必要幾つかのウェブサイトの利用には、新たな制限が必要学校・事業者による、新たな啓発活動が必要
家庭での取り組みを促進するために、新たな啓発活動が必要
ゲームの規制について 現在の表現区分・販売規制で適切ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要ゲームの影響を科学的に判断するために、さらなる調査が必要
青少年育成条例での漫画・アニメへの規制について反対反対賛成記載なし(慎重な運用が必要)
コンテンツに対する規制の主体について本来、個人や家庭の問題であり、行政はあくまでこれらのサポートに徹するべき本来、個人や家庭の問題であり、行政はあくまでこれらのサポートに徹するべき自治体レベルで、地域の実情にあわせた販売規制やゾーニング等の規制を導入すべき個々の企業や業界団体と連携し、民間の自主的な取り組みを支援するに留めるべき

ざっとまとめるとこんな感じでしょうか。

こうしてみると、非常に明快に分かれていますね。これで迷わず投票できそうです。

関連する話題: 政治

2011年4月2日(土曜日)

福島第一原発7,8号機の誘致

公開: 2011年4月4日23時50分頃

こんな記事が……原発増設含む計画提出 東電「震災で見直す時間なく」 (www.asahi.com)

東京電力が、福島第一原発の事故が起きた後の3月末に国へ提出した電力の「供給計画」に、第一原発に7、8号機を増設する計画を盛り込んだままにし、福島県が反発している。東電福島事務所は「地震の影響で作り直す時間がなかった」と釈明している。

これは福島県双葉町が誘致していたものですね。今、「世界」2011年1月号 (www.iwanami.co.jp)の一部が無償公開されているのですが、公開されている中に「原発頼みは一炊の夢か──福島県双葉町が陥った財政難」という記事があります。この7,8号機の誘致に至る背景が描かれていて、非常に興味深いです。

地元での「誘致」という立場があるということ。目先の補助金だけを見た短絡的な考えではなく、「ポスト原発」の人材を育てようという考えがあったこと。しかし、うまく行かなかったこと。そして再度の誘致。

単純に「推進」と「反対」に二分する考えが目立ちますが、この記事を読むと、他にもさまざまな軸があり、さまざまな立場の人がいるのだということを再認識させられます。

関連する話題: 思ったこと / 科学 / 原子力

2011年4月1日(金曜日)

ごっこ

公開: 2011年4月4日1時0分頃

なんとなく購入。

なかなか凄いお話です。こんな衝撃的なシーンが。

こんな事が起きているにもかかわらず、基本的にはほのぼのした独特の雰囲気で話が進みます。明らかに犯罪なのですが、それでもそっとしておいてあげたくなるという。しかし、やはり薄氷を踏んでいるような感覚からは逃れられません。

ラストがまた不気味な展開になっているので、続きが気になりますね。

※あと、出てくる女性がことごとく美人ですね。黒目がちな女性を魅力的に描く力は素晴らしいと思います。

ごっこ 1 (ジャンプコミックスデラックス)

関連する話題: マンガ / 買い物

2011年3月31日(木曜日)

トランスセクシュアルへの配慮

公開: 2011年4月3日19時55分頃

これは非常に興味深いお話ですね……「Googleによるトランスセクシュアルへの配慮の事例 (yugui.jp)」。

Googleの採用ページには、「性別、生年月日、年齢、門地、兵籍、国籍、個人識別番号等を書くな」とある。これらは確かに採用に当たって能力を測るには必要がない。またこれらの情報を知らなければ、性差別をするつもりなのではないか、年齢差別をするつもりなのではないかと勘ぐられずに済む。合理的である。

うちの場合 (www.b-architects.com)は履歴書に性別を書くように求めていますね。トランスジェンダーやゲイの人もふつうに採用している実績があるのに、なんでだろう。「法律上の性別」が必要なのですかね。

関連する話題: 思ったこと

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか

公開: 2011年4月3日16時50分頃

平積みされている新書が何となく目に付いて、何となく買う事ってありますよね。そんな感じで買ったのがこの本です。

あえてはっきり言いますが、トンデモ本でした。

……誤解も多いようですが、「トンデモ本」の定義は「著者の意図とは異なる視点から楽しむことができる本」です。必ずしも内容が間違っているということを意味しません。はっきりしているのは「楽しめる」ということです。以下、私が楽しいと思った記述を少し引用してみます。

「民団」とは、いうまでもなく「在日本大韓民国民団」のことである。民団の設立は、一九四六年十月と歴史は古い。

ウィキペディアの情報によると、韓国政府が、運営資金の六割から七割を負担し、日本国内の、三〇〇を超える拠点で活動を行っている。

以上、p66 より

ウィキペディアって。なんでウィキペディアなんですか。百歩譲って、せめていつの時点での情報なのか書いてくださいよ。

パチンコ店の店員も依存症になる。ミイラ取りがミイラになるのである。それだけ、パチンコには人を虜にするものが潜んでいる。筆者は、リーチの動きに、サブリミナル効果のようなものが仕組まれていると睨んでいるのだが……。

以上、p81 より

「ミイラ取りがミイラになる」って……? と思っていたら、「サブリミナル効果のようなものが仕組まれていると睨んでいる」と来て爆笑してしまいました。もちろん、これは単に著者が「睨んでいる」というだけであって、根拠は示されていません。

オムロンは、次のように報告している。

 出願番号・特許出願二〇〇二-五七六七四

(~中略~)

これは、以前はオムロンのホームページで紹介されていたが、現在は載っていない。

以上、p108 より

「報告している」って……これ、どう見ても特許でしょう。特許・実用新案公報DB (www.ipdl.inpit.go.jp)にアクセスして、文献種別「A」、文献番号「2003-251059」を入力すれば、今でもちゃんと見られますよ。

※JSが有効でないと動かない上に、やたら使いにくいですけどね。

ネットで、次のような書き込みがあった。

 俺さ、パチンコ屋で働いていたのよ。お客さんの中にさ、負けても負けても、毎日通ってくるオバちゃんがいたのね。

(~中略~)

 んで、ある日、「今日はあのオバちゃんこないねぇ」って言ってたら、次の日、隣町のパチンコ屋のトイレで首つってたよ。

(~中略~)

実にリアルな書き込みである。気のいいパチンコ店員の若者が、パチンコ店の現状を直視して、ついに耐えられなくなって辞めたことが素直に書かれている。

以上、p85 より

出典を明示していない時点でどうかと思いますが、これを読んで「実にリアル」と思うあたり、著者はちょっと人が良すぎるのではないかと思いました。どうしてオバちゃんは毎日通っていた店ではなく「隣町のパチンコ屋」で死んだのでしょうか。そして、この人はどうやってオバちゃんの死を知ったのでしょうか。……と、いきなり疑問がわいてくる感じなのですが。

サムスンの特徴は広告費の高さにある。儲かっているから気前よく広告費を使う。世界の主要な空港では必ずと言っていいほど、サムスンの巨大な広告が目を引くことになる。

サムスンの広告宣伝費は、売上高の3%といわれている。売上げが一〇兆円あるので、三〇〇〇億円が広告宣伝費に使われていることになる。これでは、日本のメーカーが適うわけがない。

以上、p172 より

いやいやいや。概算すぎるというのは置いておくとしても、せめて日本のメーカーの数字を挙げて比較してくださいよ。それなしに「適うわけがない」と言われても納得できませんよ。後で自分で調べてみよう……と思ったのですが、それには及びませんでした。

二〇〇九年一月のデーターでは、年間の広告宣伝費の一位がトヨタで四八四五億円。二位のソニーが四六八七億円。三位のホンダが三七五七億円である。

以上、p183 より

ちょ、ソニーのほうが広告宣伝費が多くなっているじゃないですか。サムスンの1.5倍以上あるじゃないですか。わずか10ページ前に言ったことを否定するデータですよね。

……とまあ、こんな感じで、トンデモ本としては非常に面白いです。

テーマ自体も非常に面白いと思いますし、興味深い話もたくさんあるのですが、役に立つ本かどうかといわれると厳しいところではあります。韓国と日本との違いなどをもう少しきちんと分析できていれば良かったかもしれません。

※データまわりに関しては、編集者がもう少し頑張れたのではないかという感じもするのですが。

なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか(祥伝社新書226)

関連する話題: / 買い物 / トンデモ

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