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[事件]ニュース トピック:食の安全
【東日本大震災】「風評」怒りの農家 不安増幅、元凶は原発事故
2011.4.9 20:33
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東京電力福島第1原発の事故に伴う放射能漏れを受け、周辺自治体の農作物や水産物の風評被害が広がっている。放射性物質(放射能)が未検出にもかかわらず、野菜や魚の取引価格が急落。農家や漁師たちは先の見えない不安との闘いを強いられている。
二束三文
「トマトとイチゴは前年の取引価格の6割、キュウリは4割。風評被害の元凶は原発事故。これが収まらないと復興できない」
JA全農福島の関係者は福島県産の野菜が値崩れしている現状をこう話す。
3月21日。政府は福島、茨城、栃木、群馬の4県で基準値を超える放射性物質が検出されたため、ホウレンソウやカキナなどの出荷制限に踏み切った。制限された野菜以外は安全だが、風評被害の発生で価格が下落した。
「仕入れてもらっても二束三文で買いたたかれる。農家はやっていけない」。JA福島中央会の川上雅則参事はこう話す。
政府は今月4日、都道府県単位で実施してきた出荷制限の区域を見直し、市町村ごとに「発動」と「解除」が行えるよう改めた。同じ都道府県の中でも基準値を下回る市町村の野菜を売れるようにするためだ。
新たなルールに基づき政府は8日、群馬県産のホウレンソウとカキナの出荷制限を解除。また、福島県産の原乳のうち、会津地方の制限についても解除した。
JA群馬中央会の松本近史専務理事は「解除され、安心している。ただ、風評被害の影響がどれだけ出るのか分からない。値崩れが続く懸念もあるため、政府も安全性のPRを後押ししてほしい」と訴える。
福島県喜多方市などの原乳を扱う会津中央乳業の二瓶孝也社長(65)も「この地域の原乳は基準値を超えたことがなかったのに出荷制限されていた。苦労して開拓してきた小売業者が今後も扱ってくれるのかが一番心配」と語った。
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