忍耐強い日本を読み解くキーワードとは(下)

 日本人は不幸に見舞われたとき、不幸な立場にあるのは自分だけではない、あるいはほかの人はもっと不幸な立場にあると考えて自分を慰める。江戸時代の儒学者・貝原益軒(1630-1714)はこうした行為を重要な心の修養法と考え、大いに勧めた。江戸時代、商人の間では「上を見れば何かを望んでばかりの身になるが、自分ほどは恵まれない人もいる」という意味の歌が流行した。もちろん、こうした「無常観」が、社会体制に失望した現在の日本人の怒りをどの程度「眠らせて」いるのかは未知数だ。

 南博の著作で日本人の心の中をのぞいてみた読者なら、米国の日本文化研究家ポール・バーリーの『日本文化史』(キョンダン社)=原題『Japanese Culture』=で日本文化全般に目を通すのも、日本を幅広く理解するのに役立つだろう。1973年に初版が出て以来、改訂・増補を繰り返し、西欧の多くの大学で日本文化講義の教材として採択されている定番だ。先史時代の日本人の起源から、現代作家・吉本ばななの文学世界まで、日本文化の変遷を年代記的に記述し、茶道・庭園・文学・音楽・美術・演劇・映画などを網羅している。「日本は、前近代時代には中国から、近代には西洋から、豊富な文化的借用を行い、常に外国から借用したものを自分たちの嗜好(しこう)と目的に合うよう応用してきた」というのが、著者の主張。政治史と文化史を結び付けて平易に説明しているのが強みだが、日本文化と中国文化の関連性に言及しながらも、韓半島(朝鮮半島)との関連性を無視したり縮小・看過したりしているところに限界がある。

クァク・アラム記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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