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2008年8月2日(土)から、シネマライズ他、全国で順次公開されている映画『闇の子供たち』は、フィクション(創作)でありながら、ユニセフはもちろん、(財)日本ユニセフ協会が、長年にわたりその撲滅を訴えてきている「子どもの商業的性的搾取」、すなわち、子ども買春・子どもポルノ・人身売買といった問題を、非常にリアルに描いた作品です。
子どもたちは未来を担う大切な存在です。世界190カ国以上が批准し、最も普遍的な条約と呼ばれる「子どもの権利条約」は、子どもがあらゆる種類の虐待や搾取などから守られることを訴えています。しかし、世界には、子どもを商業的性的に搾取する大人が存在し、その犠牲となり、心身に一生癒えることのない傷を負う子どもたちが存在しているのです。しかしながら、この映画のタイトルが示すように、そうした被害の実態の多くは闇に隠れ、私たちの目に触れることはほとんどありません。
また、子ども買春・子どもポルノ・人身売買といった問題は、本映画の舞台となっているタイだけの問題ではありません。グローバル化という潮流の中で、「ボーダレス社会」が色々な形で現実のものとなっています。世界各国が互いの垣根を低くし、経済的また社会的に協力関係が活発化することは、勿論好ましいことでしょう。しかし、一方で、グローバル化の負の側面が、先述のような問題を深刻化させていることは明白な事実として受け止めなければなりません。
グローバル化の流れの中で、いくつかの国が法律で子ども買春や人身売買を取り締まったとしても、どこかの一国でもそれらを許容している国があれば、世界の子どもの商業的性的搾取問題の解決はおぼつかないものとなってしまいます。問題が深刻化する今、国際社会に求められていることは、問題から目を背けず、日本を含めた各国政府が法整備を進めることはもちろんのこと、官民が協力して、例えば旅行業者による「コードプロジェクト」のように必要な対策を講じること、また、そこに住む国民の一人ひとりが、子どもの商業的性的搾取問題について「知る」ことではないでしょうか。
映画『闇の子供たち』は、私たちに、そうした事実を「知る」非常に大きなきっかけを作ってくださいました。原作者の梁石日さん、映画監督の阪本順治さん、また、難しい役柄にも関わらず、勇気を持って出演された江口洋介さん、宮崎あおいさん、妻夫木聡さん、佐藤浩市さん、タイの子どもたちはじめ、日本・タイの出演者のみなさま、主題歌を提供された桑田佳祐さん、『闇の子供たち』制作委員会のみなさま並びに本映画の制作・公開の実現に関わられた関係者のみなさまに、長年本問題に取り組んできた組織を代表し、敬意を表し感謝申し上げます。
どうか、みなさまも、この映画をきっかけに、子どもたちを守るために何をしなければならないのかを、私たちと一緒に考えてください。