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【東京】

「東日本大震災」現地の医療状況 立川相互病院・山田副院長に聞く 点滴、タミフルも足りない

2011年3月18日

被災地での医療活動を語る山田副院長=立川市で

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 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた被災地に、多摩地域からも医師らが応援で現地入りしている。十六日まで宮城県塩釜市などで活動した立川相互病院(立川市錦町)の山田秀樹副院長(47)に、現地の医療状況を聞いた。 (聞き手・堀祐太郎)

 −行程は?

 発生翌日の十二日に医師と看護師、事務職員の九人で出発。十三日未明に到着し、主に塩釜市の坂総合病院で診療するほか、多賀城市の避難所へ往診に行った。両市とも津波による死者がいて、避難所には合わせて七千〜八千人が暮らしている。

 −どのような治療を行ったのか

 海岸部なので津波につかった人が多く、外傷や低体温症の処置が多かった。同行した医師は一日十体ぐらいの検死に関わった。

 −医療・医薬品は足りているか

 自転車操業で何とかやりくりした。塩釜周辺はだいぶ物資が入ってきたが、点滴や糖尿病患者向けのインシュリンが不足している。被災者の疲れがたまっているので、これからインフルエンザが流行するだろうが、タミフルも足りない。新型インフル対策で国や各自治体には相当数の備蓄があるのだから、被災地に効率よく回るようにしてほしい。

 −医療現場で気付いたことは?

 持病のある人は、薬剤師から配布される「お薬手帳」があれば、病気が分かりやすく薬を処方しやすい。

 −被災者の様子は?

 地震のショックで不安や不眠を訴える人が多い。「津波にのみ込まれた車が見えたが、何もできなかった。助けを求める叫び声が耳から離れない」と聞いたときは、こちらも切なくなった。

 −行政に求めることは?

 大した被害を受けていないはずなのに、物資不足で閉院して入院患者を隣県に回す仙台市内の大病院があった。医療機関の連携が取れていれば解決できたはずなので、つなぎ役が必要だ。また、物資が確実に被災地に行くように、国がしっかりと号令をかけるべきだ。

 −現地の医療従事者の様子は?

 医療に追われて自分の生活用品を入手する余裕もなく、疲れている。長丁場は確実なので、医療の人員をどのように全国的に確保するかも課題となるだろう。

 −被災地から離れた我々がなすべきことは?

 物資が行き届くように買いだめは控えるべきだ。原発事故に関心が流れているが、孤独で不安がっている避難所の人々を常に気に掛けてほしい。

 

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